COPC社のカイル氏へのスペシャルインタビュー

2018.11.20

Kyle Kennedy氏 
COPC Inc. 新COO

プロフィール

カイル・ケネディ氏は、COPC社の最高執行責任者(COO)であり、現在、世界中でコンサルティング、トレーニング、認証サービスを提供している。またグローバルにおいて認証プログラムを牽引しており、COPC規格委員会のメンバーでもある。CX(カスタマーエクスペリエンス)マネジメントに関する専門知識を有しており、グローバルで大規模な業務改善を成功させた実績がある。 COPC社に入社する前は、22年間、Harte-Hanks社に勤務し、コンタクトセンターサービスと配送サービスに従事していた。その間、グループマネージングディレクターを含む多くの役割を果たし、グローバルアカウント管理とサービス提供戦略を策定し、実行した。その後、コンサルティング会社であるRuffalo Noel Levitz社の最高執行責任者(COO)を務めた。

2019年のコンタクトセンター業務におけるトレンドは何だと思われますか?
2019年、企業が直面する最大の課題はきっとAIでしょう。AIはコスト削減の観点などからチャンスと言えます。サービスの質を大幅に向上させる可能性もあるでしょう。一方で、すべての企業がAIといった高度で複雑な技術を導入するために必要なスキルや知識を持っているわけではないと考えています。

AI導入は、企業にとって大きな挑戦にあたると思います。なぜなら、AIは未完成のコンセプトであり、完全に定義されていないあやふやな存在だからです。実際に、たくさんのサプライヤー企業が多種多様なAI関連のサービスを提供しています。そういったことから、どのサービスを選べばいいかの判断がすごく難しいです。結果、企業は高額なコストを払い、AI導入に失敗することを恐れているように感じています。

そのため、AIを担当するCOPC内の委員会では、ノンアシまわりのCOPC規格を絶えず改善・向上させることで、ユーザーが的確にAI導入をするサポートを行っています。

コールセンターはAIによりどのような影響を受けるとお考えですか?
コールセンターは、エージェント自身にツールを使ってもらいつつ今までの業務を維持ししながらAIを活用していく必要があるでしょう。そうすることで、エージェントに大きな影響を与えることなく顧客体験の向上を向上させます。

AIによりコールセンター人員は削減できますが、お客様はそれでも生身の人間とのやりとりを必要とすると考えています。AIと人間との協働がお客様に対して最もよいサービス提供になるでしょう。ですので、現状の従業員をすべてAIに置き換えるというのは現実的ではありません。

AIには共感性がないので、多くの情報からお客様の心意をくみ取らなければならないやり取りには不向きです。しかし、エージェントがお客様からの多種多様な問い合わせに答える際のサポートツールとしてAIは使用できます。結果、センターあたりの人員数を削減することができるようになるでしょう。

2019年、企業が最も注力すべきことはなんでしょうか?
企業は、ビジネスの観点からのオペレーションではなく、サービスに対するカスタマージャーニーをより理解する必要があり、顧客の視点に注意を払う必要があります。 現在、コールセンターはCJM(カスタマージャーニーマッピング)にあまり注力していません。 理由の1つは、CJMの指す範囲が非常に広いからです。 第2に、マーケティングやセールスのオーナーシップは、顧客中心の販売やマーケティングジャーニーに比べて成熟度が低いからです。COPCは、トレーニングを提供し、規格を最適化することにより、一層ジャーニーに集中し顧客体験にアプローチできるように絶えずアップグレードしています。

コールセンターでのAIの増加に伴い、顧客満足度は自動的に上昇しますか? 課題は何ですか?
AIは、今はまだ完全ではないですが、非常に有望なツールです。 多くのお客様が、人間とのやりとりを求めていて、AIを完全に信頼してはいません。AIがなんであるかが不明瞭な部分があるため、それらを利用することを躊躇しています。 また、AIを実装する際にブランドや企業が考えているゴールと、顧客体験との間には大きなギャップがあります。 CXの指導者は、このギャップを埋めるように努力すべきであり、それがAI導入への成功につながる考えています。

経験のない企業にAIを実装する最良の方法は何ですか? どこから始めるべきですか?
既存のサービスにAIを活用することが、基本的な出発点です。 実装は、会社がAIに精通できるよう、徐々に行われるべきです。 まずは、どのような方法でAIがあなたの会社に役立つかを理解することが、上手く活用をしていく最良の方法です。

伝統的なコールセンターがなくなると思いますか?
私はオペレーターがコールセンターからいなくなるとは思っていません。 特定の種類の製品やサービスのリアルタイムでの応対は、企業が顧客とより強固な関係を構築するために不可欠と考えています。
特に、ビジネスと密接な関係にあるブランドや贅沢な製品、人間とのやりとりがキーポイントとなる製品の場合、新たなテクノロジーだけで顧客との強いつながりを構築することは非常に困難です。
さらに、すべてのビジネスが低コストで高度な技術ツールに適しているわけではありません。中には、お客様が様々な種類の期待を持っていることもあります。 特定の業種、製品、ブランドのアイデンティティ、および顧客との関係についても同様です。
伝統的なコールセンターが消えていくのではなく、コールセンターで必要とされる仕事の中身が変わると考えています。 AIトレーナーは、CX業界で新たなニーズに対応した新しいツールを構成するために必要となるでしょう。 また、これらのツールの、正しい機能を保証するためにメンテナンスが必要です。 こういった分野で、来年あたりには新しい働き方の一例となるでしょう。

 

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