2019年COPC 規格委員会ポンテベドラ

2019.11.25

COPC規格のこれからについて話合うCOPC規格委員会に、日本ユーザーグループ(JUG)会長、富士ゼロックスサービスクリエイティブ社の鶴岡さんと一緒に参加して来ました。この内容は、11月に開催された日本ユーザー会議の場で、参加組織の皆さんにはお伝えしましたが、その内容等を共有したいと思います。

COPC規格委員会は、年に2回のペースで開催されます。今回は、2回に1回のペースで開催される(そのくらいの印象です)米国のフロリダにて開催されました。参加者は総勢12名で、今回は、ゲスト参加として中国アリペイのANT Financial社からアレン氏が出席されました。また今回のプロシードベンチマークサミット(PBS)にキーノートスピーカーとして参加していただいたフランスOrange社のピエール氏も参加していました。

gomi oct 2019      会議が開催されたフロリダ州ポンテベドラのホテル

今回のトピックは、いつものグローバルでのCOPCの活用状況の確認のほか、以下となりました。

1. CXMBサーベイ結果の共有
(COPCが実施する、消費者とビジネスへの顧客対応に関するアンケート)
2. ANT Financial社でのCOPCの活用状況の発表
3. 「サービスジャーニー」コンセプトのその後
4. リリース6.2に含まれる変更点の検討
5. リリース7.0に向けての改訂の進め方の確認
6. トレンド、マーケティングの2つのサブコミッティからの報告と検討

gomi oct 2019 2      会議の風景

いくつかのトピックを取り上げて、お伝えします。

サービスジャーニーの今後
パリ会議の記事(blog/copc-paris-conference)にも記載しましたが、COPCの言葉で「サービスジャーニー」とは、「顧客の問題や要求が解決されるまでに必要となった、起点から終点までの顧客体験の工程」を指し、組織のコンタクトチャネルをまたがる場合や、1つのチャネルであっても、複数回の取引業務が存在する可能性があることが特徴です。この「サービスジャーニー」という言葉やその概念はCOPCのコミュニティには浸透してきていると考えています。ただし、グローバルで見ても、顧客接点をチャネルごとに縦割りにしている組織がまだほとんどな状態であるとみています。チャネルごと、あるいは個々のコンタクトポイントでいくら良い対応をしても、トータルでお客様に良い体験が提供できるとは限らないという点を認識し、組織横断的な活動にしていくことをこれからも積極的に望んでいく、というCOPCの方向性が再度確認されました。

gomi oct 2019 3

この領域でのいくつかのキーワードとして、注目しておくべき考え方として、「ネクスト イシュー アボイダンス」や「コプロダクション」といった言葉や概念について検討がされました。「ネクストイシューアボイダンス」とは、顧客の本来の要求をきちんと捉え、そこに答えていくことで、再入電やコールバックを防ぐという考えです。コールをどれだけ短く完了させるかではなく、ここできちんと対応することで、将来発生するかもしれない余計なコンタクトを防ぐことで、お客様の手間を省いていくという考え方は、大事なものだと思います。

リリース6.2での変更点
COPC CX規格の次の改訂は、リリース6.2となる予定です。リリースの小数点以下の変更なので「マイナー」な改訂と分類されるものになります。
その内容の一つは、「サービスジャーニー」に関する改訂を広範囲に埋め込むことです。リリース6.1では、顧客体験の指標に、サービスジャーニーの評価(カスタマーエフォート指数=CES)を含めることのみでしたが、リリース6.2では、「1.2 事業計画」、「2.1 顧客情報の収集と分析」、「2.2 KCRPの設計」、「2.9 プロセス管理」といった項目にサービスジャーニーの考え方を展開していきます。
その他には、ナレッジ、コンテンツ管理の考え方に、ユーザーであるCSSから見た有効性、使いやすさの観点を入れるといった変更が入ってくる予定です。英語版のCOPC CX規格のリリース6.2は2020年1月1日に発行される予定です。日本語版は、翻訳のための期間をもらい、3月から6月を目標に発行していく予定です。

サブコミッティの活動
サブコミッティの活動は、「マーケティング」と「トレンド」という2つのテーマで活動しています。マーケティングは、COPC規格の認知度やその適用を促進していくための、COPC規格委員の活動の定義とその内容を明確にしてくことをミッションとして進んでいます。私たちプロシードでは、毎年開催されるプロシードのセミナーに、規格委員会のメンバーを招聘し、講演をしてもらっていますが、委員会メンバーが率先してこのような活動に携わっていこうというものです。「トレンド」では、顧客コンタクトの世界で見られる、新しいテクノロジーや考え方を理解し、規格に取り込むべきか、取り込むとしたらどのように取り込むのかといった議論をすることを目的としています。今回は、ギグエコノミー(Uberのように、会社組織に属さないフリーランスのワークフォースを活用した経済活動)、AIを活用したIVR、RPAをテーマにして議論を行いました。
今回から本格的に始まったサブコミッティの活動ですが、日本のJUGでも同じようなコミッティを立ち上げ、ユーザーグループとして本格的に取り組んでいくことを計画しています。

まとめ
今回の規格委員会でも、COPCが「コンタクトセンター」の規格から、「顧客コンタクト」全体を対象とした規格になるという方向を確認してきました。デジタル領域の取り組みを開始、強化していくことに時間的な余裕はありません。中国の例を見ても、この領域でのサービスの展開はどんどん始まってきています。新たに取り組む企業は、「コールセンターにあるサービス機能のデジタルへの移行」ではなく、もともと「デジタルの世界でのサービスありき」でサービスが設計されています。COPCや私たちプロシードも危機感をもって取り組んでいく必要があると再認識しました。
今回、PBSで講演いただいた、フランスOrange社のピエール氏からは、Orange社のたどった道や、具体的な取り組みを聞くことができました。日本のみならず、他の国においても、まだ、顧客コンタクトのマネジメントはそのチャネルごとにそれぞれ責任を持つ部門(コールセンター部門、ウェブサービス部門、店舗オペレーション部門等々)があり、縦割りの組織体制になっていることが多いようです。お客様が望んでいる体制ではありません。一方で、顧客コンタクトをすべて統合して設計・運営していく視点が必要という意識をもって、取り組んでいる組織がすでにあります。ピエール氏の組織では、カスタマージャーニーごとに責任者を置き、その責任者が、チャネルのミックスやそれぞれのジャーニーにおける顧客戦略の責任を負う形になっているそうです。
大きな会社は変わるのが大変かもしれませんが、変化の波は確実にやってきています。日本以外の国々の変化のスピードから遅れないようにと改めて思った機会でした。

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