海外組織から学ぶ!新入社員の早期離職を防止するヒント四選 ~海外センター通信 vol.2~

2023.03.07

海外センター通信は、海外カスタマーサービス関連最新情報やトレンドをお届けする連載コラムです。

もう間もなく4月となり新入社員を迎える組織も少なくないのではないでしょうか?新入社員の早期離職を抑えるために行うべき施策は、例えば4月など受け入れが始まるまえに行うものがほとんどですが、今回のコラムでは4月以降からでも活用ができる、海外の早期離職を防止するヒントについてお伝えいたします。

出典> https://www.callcentrehelper.com/ways-reduce-new-employee-attrition-146124.htm

早期離職を抑える!今日からできる海外事例四選

  1. 早いタイミングで自分たちの仕事の意義を伝える
  2. プロジェクトへ積極的に関与して頂く
  3. 稼働率を分析する
  4. 3つの「き」に注意したone on one

①早いタイミングで自分たちの仕事の意義を伝える

シフトや雇用形態によっても異なりますが、一般的に職場で過ごす時間・与えられた仕事をする時間は1日の中の1/3(8時間)を占めています。これだけ多くの時間を費やすことに「意味を見出せない」場合その方の職場での体験は優れていると言えるでしょうか?

オペレーターの仕事は顧客から直接感謝の気持ちを受け取れるものですが、その仕事が組織にどのように貢献しているか見えにくい実態もあります。またモニタリングやAHTなど担当するチャネルの対顧客パフォーマンス指標にフォーカスをあてたマネジメントを行われがちなため、仕事のWHYがそれらの指標を達成することになりやすく、もっと大きなWHYへの意識が薄れてしまいます。

初期研修の中で自社の理念・ビジョンミッション・パーパス、また商品やサービスがどのように社会へ貢献しておりその中でオペレーターの仕事はどのような役割を担っているのかをぜひ伝えてみてください。またその際は対顧客だけでなく、対社内でもオペレーターの仕事がどのように社内の他部署へ貢献しているか伝え「給与の源泉」以上の仕事の理解を促してみてください。

②プロジェクトへ積極的に関与して頂く

前の項目でお伝えしたとおりオペレーターの仕事がどのように貢献しているか理解してもらうことです。さらに重要なのが「貢献を実感」してもらことです。

顧客からの感謝はわかりやすいものですが、社内への貢献の実感はどうでしょうか?顧客と過ごす時間(顧客へカスタマーサービスを提供する時間)は確かに多いですが、一緒に過ごす時間が最も多いのは職場の仲間・上司です。

貢献をする・実感することで自信を持てるようになりそれが心理的安全性の基盤となり、更なる働きがいの向上を可能にします。新人オペレーターだからこそ関与・貢献できるプロジェクトとして「社内オンボーディングプロセスの改善」が挙げられます。実際に新人オペレーターの皆様が経験された採用~デビューまでの重要なポイントでアンケートをとったり、グループインタビューを行ったりして、どのように改善していくべきか、どれだけ良くなる見込みがあるのか、討論をするものです。

ここで出る意見を見ながら「どれだけ自社理念や方針を理解しているか」のチェックをすることもできます(個人的な意見を言っているのか?理念や方針をベースに話せているか?)。

新人「でも」できる貢献ではなく、新人「だからこそ」できる貢献が可能なプロジェクトを準備するのも組織として重要な役目です。

③稼働率を分析する

初期研修が終わり独り立ちしたあと新入社員の勤務時間に対する生産時間の割合はどれほど高いでしょうか?(総労働時間に対して、顧客応対に従事する時間の長さはどれぐらいか)

この割合が高ければ高いほど生産性が高いことを意味しますが、同時に非生産時間、つまり顧客応対以外の時間が短いことも意味します。これには会議、研修、コーチチング/フィードバックの時間も含みます。

組織全体としては、離職や新人オペレーター比が全体の生産性に与える影響を把握するため一括で管理することもメリットがありますが、個別で見る際には組織の尺度ではなく、新人オペレーターとして適切な値となっているか?注目することも重要です。この割合(稼働率)が高すぎる場合、ケアが不足している可能性が高いため、非生産時間の捻出を行うことが推奨されます。

④3つの「き」に注意したone on one

one on oneの重要性は他のコラムでもご紹介させて頂いておりますが、もちろん新人オペレーターにとっても重要です。その際ぜひ以下の3つの「き」に注意してみてください。

A. きづき(どのような貢献や成長をしているか気付いて頂けるように促す)

上述の②でお伝えしたとおり、貢献を実感してもらうことは重要です。また貢献も成長も自分一人では気付きにくいものです。

one on oneなど貴重なチャンスとなるため、貢献や成長などを実感してもらえるように気付ける仕組みを設けましょう。SV・リーダーから感謝の言葉を伝えることもそうですがカルテなどを準備して数値の指標をわかりやすく伝えることも効果的です。

B. きづかい(どのような努力や工夫をしているか観察しそれに対して気遣いのある声をかける)

目に留まりやすいのは勤務態度などの「行動」です。行動を承認されることもポジティブな効果を与えますが、さらに効果を与えるのがより深層にある「能力」「価値観・考え方」「アイデンティティ」です。

これらは目に留まりにくく充分に観察する必要があります。応対中工夫したところがあることに気づけば、なぜそうしたのか?コミュニケーションをとって、どのような考え方に基づいて行ったのかぜひ聞いてみてください。そこに1人1人の能力や価値観・考え方、アイデンティティを理解するヒントが詰まっており、それを理解することがさらなる働きがいに繋がります。

C. ちしき(すぐに使える知識やノウハウ、テクニックを伝える)

これまで紹介してきたように目の前の業務を超えた意味や意義を理解することなどが重要ですが、目の前の業務を問題なくスムーズに、そして目の前の業務で成功することも重要です。コーチングのタイミングでSV・リーダーが、あるいは先輩オペレーターからすぐに活用できるコツやポイントをぜひ非伝えてみてください。

全員がパーパスにフルコミットした組織が理想的ですが、入社1日目からそうなっていることは稀です。小さな成功体験を積み重ねることが、将来的なエンゲージメントのベースにあるためまずは目の前の仕事でこの体験を積めるようサポートすることも重要になります。新人オペレーター同士でコツや気づきを共有するグループワークをすることなども効果的です。


今回はすぐに活用できるヒントについてお伝えさせて頂きました。冒頭でもお伝えしたとおり、すぐに活用できない「事前準備」も重要です。

採用フェーズ、初期研修フェーズ、デビュー前後のフェーズそれぞれのプロセス習熟度がどこまで高いか、理想的な姿とどこにどのようなギャップがあるのか、新入社員の早期離職に絞ったアセスメント(ERT診断)も弊社では行っております。セルフチェックできるチェックシートもございますので、ご興味がある方ぜひ以下よりお問い合わせください。

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