第1回 評価基準は適切ですか?

2009.03.01

あらゆる業種・業態に関わらず、ビジネスを継続していく過程では、ビジネスのクオリティを高める活動が重要です。数年前と比べると、それらを効果的に実現するために、顧客満足の軸・スピードの軸・クオリティの軸・売上の軸・効率性の軸など、様々な切り口での数値管理も進んできている印象を持ちます。”感覚的”から”数値的”な状況把握に変わってきているとも言えますね。。(もちろん、何でもかんでも”数値管理が良い”という意味ではありませんが。。) 今回のコラムでは、この数値管理における”クオリティの軸”へ重要な関係がある、モニタリングにおける”評価基準の適切さ”についてみていきたいと思います。

各指標で特徴がありますが、クオリティは、算出式だけでは測定することができません。モニタリングによって可視化するプロセスがあって始めて数値化することができるものです。モニタリング評価項目は様々ですので、一言でクオリティの数値管理といってもセンターによって大きな違いがあります。
改善の余地があるケースを2つご紹介いたしましょう。

ケース1:重大な過ちを見落としてしまっていませんか?

電話とメールの応対をモニタリングしているセンターの事例です。電話チームでは、最初のご挨拶から切電後のログ入力まで、スクリプトにそってチェックしています。メールチームでも、プロセスに沿って細かなモニタリングチェックを行なっています。チェック項目は、「適切なご挨拶」「口癖」「クッション言葉」「敬語の適切さ」といったことを中心にみていて、毎月、その結果に基づいたコーチングを実施しています。ところが一方でクレームが減りません。クレームの内容は、「依頼した資料が届かない」「教えてもらった情報が間違っていた」「請求金額が間違っている」のように、モニタリングではチェックしていないところに原因のあるものです。このセンターでは、クレームを受けると、必ず上長が折り返しお詫びの電話をかけ、場合によっては直接ご自宅へ伺うことにもなるために、センターにはかなりのクレーム対処費用が発生しています。

注意ポイント

重大なミスを独立して定義する

どんなに感じの良い応対であっても、提供された情報が間違っていたら、お客さまはそのセンターの応対品質に不満を感じるでしょう。またセンター側の費用負担が繰り返されれば、経営層はそのセンターの応対品質が低いと評価するでしょう。このような、お客さまと企業の視点で低い評価に繋がる応対を減らしていくためには、モニタリングの中で「重大なミス」として発見するチェック項目が必要です。

エッセンス

ミスには「重大なミス」と「重大でないミス」があり、お客さまと企業の満足度にインパクトの高い項目は「重大なミス」としてチェックされる必要があります。

ケース2:チェック項目の陳腐化

いくつかの重大なミス項目を仕立て、お客さまの視点・企業の視点からモニタリングチェックを実施し、改善に取り組んでいるセンターの事例です。モニタリング開始当初はミスの発生率が高かったのですが、3年間同じ項目で改善を繰り返すことで、ようやくミスがほとんどみつからないレベルに達成することができました。ところが、あらためてお客さま満足度調査で応対への満足度をみると、3年前の満足度評価と比較してあまり変わらない値です。こんな事があるのでしょうか?

注意ポイント

お客さまの期待や評価は変化する

お客さまの期待は、世の中の動き、提供サービスの変化に伴い、刻々と変化しています。定期的に顧客満足度調査とのすり合わせをしなければ、お客さまの期待とずれた評価になっていく可能性があります。

エッセンス

モニタリングチェック項目は、設定後も定期的にエンドユーザ満足度調査結果とのすり合わせを行ない、必要があれば見直し、修正・変更する必要があります。

お客さまの視点、企業の視点にウェイトをおいた評価項目に着目し、モニタリングにおけるミス率の把握と、優先課題への改善を行なわなければ、せっかくのモニタリングも事業への貢献度が把握できません。一方で、エンドユーザ満足度やクライアント満足度の調査項目との整合性を見ることで、モニタリングの評価項目が適切であるかの判断と、改善の取り組み結果を見ることができるようにもなります。
次回のコラムでは、定めた基準に基づくモニタリングを、どのぐらい実施すべきかについての考え方をご紹介していきたいと思います。

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