今回は、「プロセスの設計が顧客体験を左右する」と実感した私の体験をご紹介
します。
先日、体調がすぐれず、病院での診察を受けた時のことです。初めての病院だったため、まず「受付窓口」に向かいました。窓口の担当者に「・・・はお済ですね?」と早口に言われ、体調がすぐれなかった私は聴き取ることができず、再度聞き直しました。
すると、受付の方は同じペースで同じことを再度言うのです。さっぱり聴き取れません。
「初めてなので、仰っていることがよくわからないのですが・・・」と聞くと、ようやく、何をすべきかを理解できる言葉とペースで話してくれました。
別の検査を受けてから行くべき受付窓口だと理解し、検査終了後、再びその受付に戻ります。窓口の担当者からは、
「・・・と・・・を済ませて、この用紙を診察室のボックスに入れてください」
とまた早口に言われました。
体調がすぐれず、聞き直す気力もなかった私は、行けばわかるのでは?と思い、目的のものを探しました。やることは何とかわかりましたが、ボックスがどこにも見当たりません。困り果てて、通りかかった看護師さんに聞いて場所を教えてもらい、ようやく診察前の全ミッションを完了しました。
診察を受けるまでの工程に疲れ果てた私は「友達にはこの病院はお勧めできないなぁ」と思いました。
では何故、「お勧めできない」と思ったのでしょうか?
私が病院に対して「当然あるだろう」と思っていた以下の要素がなかったからです。
・診察履歴から、患者に合わせた説明を行ってくれる
・対面だからこその、体調に合わせた配慮をしてくれる
・誰にでもわかる案内の設置等がある
しかし、この病院の各工程(プロセス)は病院視点であり、患者(=顧客)視点が非常に弱く、事前期待をことごとく裏切られたのです。
病院は特殊なのでしょうか?いいえ、コールセンターも、店舗もWebも目的や専門性があるわけですから特殊とはいえないでしょう。
よくある顧客の姿をイメージして、どのような行動をとるのか、行動ひとつひとつに対して、顧客体験を損ねる設計になっていないかを真に顧客の立場で見直してみる。
ブラックボックスになっていることがあれば、それは顧客体験を損ねるプロセスになっている、ということです。
皆さんのセンターは「特殊」という言葉で、顧客を蔑ろにしていませんか。
今一度、顧客に提供しているサービスのひとつひとつのプロセスを見直しましょう。