eメール応対品質向上の鍵 ~お客様ステージアップを実現するための3つの作成ステップ~

2018.05.02

昨今のコンタクトセンター応対品質活動は、新たなステージに入っています。

企業は、あらゆる場面でお客様のニーズに応え、お客様体験価値を向上するために、コミュニケーションインフラを整えています。Webやアプリによる自己解決支援の強化を図る一方で、不明点や相談ごとの発生時、お客様のニーズにあわせ、スムーズな解決とステージアップができるように、従来の電話のみならず、eメール、チャット、チャットボット等ノンコールコミュニケーションの強化が求められています。

コミュニケーションチャネル拡大の中コンタクトセンターの応対品質を、どのようにレベルアップすべきなのか。今回はeメールに照準あてて、作成時に注力すべき3つのステップをまとめます。(次回はチャット編です。ご期待下さい。)

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今回の内容は、テンプレート作成ではなく、応対者が作成するeメールを想定しています。作成される方や品質管理を担当される方がどのようなポイントに注力すべきか、メッセージをまとめますのでご参考ください。

ステップ1 メール作成の前工程

※当該時間を取ることは、結果的に作成時間の短縮、1回のメールでの解決度向上に繋がり、効率性向上にも貢献します。

Q メールを作成するとき、まず何をしますか?

A 作成に入る前に、お客様を読み取る時間を取る。

「用件を理解する」・・もちろん大事。でも、もっと大事なのは、「お客様を読み取る」時間を取ることです。
例えば電話であれば、会話をリードしながらお客様を総合的に理解して、最適な情報提供に繋げることが鍵であることと同様です。時間にして3~4分程度でしょうか。このステップを持つのと持たないのでは、1件のメールの作成時間や、特に1回のメールでの解決度が大きく異なります。解決までに何度もやりとりを繰り返すことになるようであれば、一度試してみて下さい。
以下に、3~4分で読み取るべき5つのポイントをまとめます。

ポイント1:お客様の文面から<未来の解決ポイント>を読み取る
お客様がメールのやり取りを終えた後でどうしたいのか、未来の解決ポイントを(過去何度かのメールのやりとりを含め)メール文から読み取りましょう。具体的な言葉では記載されていない場合もありますが、「読み取る」ことが重要です。

ポイント2:お客様の文面から<過去の背景>を読み取る
お客様がこれまで何を経験してきて、何がきっかけとなってメールを作成したのか、過去の背景を読み取りましょう。やはり具体的な言葉では記載されていない場合もありますが、「読み取る」こと、必要があれば仮説だてることが重要です。

ポイント3:お客様の文面から<今の状況と心情>を読み取る
お客様がどのような状況とどのような気持ちでメールを作成しているのか、今の状況と心情を読み取りましょう。言葉の書きぶりから「読み取る」ことが重要です。

ポイント4:お客様の文面から<属性>を読み取る
お客様がどのような年齢、どのようなタイプのお客様であるか、属性を読み取りましょう。言葉の書きぶりから、お客様像を具体的にイメージすることが重要です。

ポイント5:お客様の文面から<理解度>を読み取る
お客様がどの程度の理解度の方であるかを読み取りましょう。言葉の書きぶりから「読み取る」ことが重要です。
電話のコミュニケーションにおいて、会話の早い段階で理解すべく合意や会話リードを強化しているセンターが増えています。メールの場合、その場でお客様に尋ねることはできませんが、よく読むと、上記5つのポイントが読み取れてきます。お客様への最適な情報提供で1回のメールで完結できるよう、ステップ1で読み取った内容を、ステップ2とステップ3のお客様にあわせたアウトプットに活かすことによって、解決度向上かつステージアップにつなげるメールが実現できます。

ステップ2 メールの構成と情報の選別

Q 回答を作成するとき、何から記載しますか?

A お客様の解決ポイントに対する重要なことから記載する。

以下に回答作成時の3つのポイントを記載します。

ポイント1:レイアウトも活用して構成のわかりやすさを工夫する
お客様にとって重要なポイントから、整理して記載する構成とします。eメールでは「視覚」も活用することができますので、罫線や段落を用いて、視覚でも内容を区分・整理することによって、わかりやすさが向上します

ポイント2:具体的かつ端的に情報を厳選する
コンタクトセンターの情報提供におけるわかりやすさは、「厳選する」ことが鍵です。お客様にとって重要な情報を厳選し、具体的に記載した後に、補足として見ていただくと有益な情報のURLのリンクを貼ると良いでしょう。コミュニケーションによる解決を期待しているお客様に対して、最初からURLを貼る回答にはしないように注意しましょう。

ポイント3:理解度にあわせて説明の言葉を変える
お客様の理解度は様々です。読み取ったお客様の理解度や属性にあわせた言葉のかみ砕き方で記載しましょう。

ステップ3:メール文作成

Q お客様の温度感にあわせるためにどのような工夫をしますか?

A お客様が読む言葉と時間を温度感にあわせる。

電話であれば声の表情や抑揚によってある程度の温度感を表現することができますが、メールの場合は表情をのせることができません。言葉と時間でコントロールします。
以下に、温度感に合わせる3つのポイントを記載します。

ポイント1:お客様の温度感にあわせて、センテンスを重ねる
例えば、「いつも~~をご利用いただきありがとうございます。この度は〇〇にご関心お持ちいただき誠にありがとうございます。」のように、言葉を重ねることによって、お客様が読む時間をコントロールすることができます。センテンスを重ねることは、お客様がお礼を2回、お詫びを2回のように、少し長く読むことになり、重ねるセンテンスの言葉の表現を変えることで、伝えたい重みに近づけることができます。

ポイント2:お客様の気持ちにあわせたクッション言葉を添える
ステップ1で把握したお客様の気持ちを考慮しながら作成すると、お客様にとって残念なこと、あいにくな事実への意識が強化されます。そのような場面ではクッション言葉を添えましょう。情報は簡潔に、情報を厳選しても、配慮は省かず表現すると良いでしょう。

ポイント3:お客様を配慮した言葉を含める
お客様のステージアップを意図した場合、ご安心下さいといった言葉や、ぜひご活用いただきたいという言葉は重要な意味を持ちます。お客様の立場になってかけてほしいと思える言葉を添えましょう。

メール作成プロセスを強化することによって、お客様一人一人のステージアップの確度を高めることができます。
プラスして、なぜお客様がメールを打つ必要があったのか、リーズン分析を行うことによって、お客様にとって最適なサービス提供を分析し、サービスそのものの改善に役立てることが最も重要な品質向上であることを忘れずに、プロセス強化に取り組みましょう。

コンタクトセンターにおける様々なチャネルの品質強化について、お気軽にご相談下さい。

URL:http://www.proseed.co.jp/assessment/lp/mysterycall

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