センターが顧客に提供するチャネルを考える上で、顧客の利便性を確保することを無視することはできません。
特に電話チャネルへの入電については
「高齢者が多い」
「今後、高齢者はもっと増えてくるから電話は重要」
との話をよく耳にします。
そのセンターにて実際に電話応対をサンプルモニタリングすると、高齢者の方と考えられる顧客からの応対が多いのも事実です。
しかし、本当に高齢者=デジタルに弱い=電話チャネルが最適、なのでしょうか。
『高齢者』は電話を望んでいるのか?
皆さんは「高齢者」と聞いて、何歳ぐらいを思い浮かべますか。
私(ミレニアル世代)は、自分の親の世代(70歳代)をイメージしました。
国連の世界保健機関(WHO)では、65歳以上の人を“高齢者”と定義しています。
そして、総務省の「情報通信白書(令和2年版)」では、インターネット利用状況を調査した結果が掲載されており、2019年60~69歳で90.5%、70~79歳でも74.2%となっています。
コロナ禍で自宅待機が増えたことで、この割合は高くなっている、との見解もあります。
また昨今では高齢者向けSNSも活用されてきています。1990年代後半に提唱された、デジタルデバイド(情報格差)は埋められてきているのかもしれません。
※インターネット利用のレベル感については、この調査では触れられていないため、率増加がデジタルチャネルへの移行を後押しするものかは、精査が必要です。
顧客がチャネルを『選ぶ』決め手
では改めて、高齢者が電話チャネルを活用するのはなぜでしょうか。
それは、ユーザビリティが高齢者向けではないために、インターネットを利用して解決しようとした高齢者が、結局電話チャネルを活用せざるを得なかった、というケースが考えられます。
最初から「ネットを使わない」という選択をするのではないのです(そういった顧客も少なからずいますが、それはどの年代においても同様に存在します)。
通信各社が販売している高齢者向けのスマートフォンを思い浮かべてみてください。
字の大きさ、シンプルなUIなど、使いやすさ、利便性を追求しています。
高齢者=電話と考え、センターの応対を高齢者向けに磨くことも重要です。
しかし、単に“電話チャネルのみ”ではなく、高齢者という“ペルソナ”を設定し、そのジャーニー視点で改善することをぜひ分析・実施してみてください。
その視点であるならば、例えばUIを高齢者向けに変更する(シンプルなデザイン、大きめのフォントサイズ、横文字を減らす、複雑な解説を極力減らすなど)ことも、改善への近道と言えるでしょう。