複雑さにより顧客体験が低下するわけ

2019.07.31

COPC社のウェブサイトから、新しいコラムを紹介します。

今回は、プロシードのセミナーでも基調講演を依頼したことのある、COPC APACのCEO、イアンの顧客体験に関するコラムです。お客様に不要な意思決定を迫らないこと、シンプルに望んだことが実行できる環境とすることの重要性について伝えています。

COPC blog july 2019

 

 

人生の中ではしばしば、単純なものが最高であると言われます。これが長い間真実であるとされてきたのは、大多数の人々が賛成しているからです。私たちのほとんどは、(他のすべてのものが等しいとしたら)より単純な説明は、複雑なものよりも優れていると考えます。 また私たちは皆、家庭料理や、ビーチへの旅行、カウチに座って映画を見ることなど、自分に満足感をもたらしてくれものが好きですー自分のみならず、自分の家族や友人に対してもたらされる満足も。この基本的な真理が、ビジネスの世界に適用されないことが、私たちのイライラの原因となります。

ビジネス上でも、私たちが望むものを手に入れることができるシンプルな取引は、喜びをもたらしてくれます一店舗で商品を購入することや、ガソリンを車に入れること、コールセンターで質問に対する答えを得ること、劇場のチケットを予約すること、いずれの場合においてもそうです。

例えば、UberやDidiのようなライドシェア企業は、「タクシー料金を支払う」という体験をシンプルにしました。もはや財布を取り出し現金を支払うことや、クレジットカードのスワイプは必要ありません。車から降りるだけで、運賃が自動的に口座から引き落とされます。取引はシンプルになり、すべての意図と目的のために、「エフォートレス(努力不要)」で実施されます。企業が、解決を妨げる障壁を設けることで単純な取引を複雑にすることに、私たちは不満を感じます。取引が複雑になればなるほど、消費者が使わなければならないコミュニケーションの手段が増えます。そして「取引を完了する」のにかかる時間が長くかかることになり、消費者のフラストレーションは高まります。

シンプルなこと複雑にする方法

洗剤を探してスーパーに入ると、10以上のブランドの商品をみることになり、ため息がでます。シンプルな決断は複雑になりました。特にブランドロイヤリティがない場合や、ニッチな製品を探している場合は、スーパーマーケットに買い物に出かけることが、「中くらいに複雑な作業」になりました。 ラベル情報を読み取り、購入する製品を決定する前に各製品の違いを理解する必要がありますーこの商品でよかったのかなと心配しながら。これは時間のかかる面倒な作業です。

住宅ローンの借換えや新規借り入れは、過去は単純だった決定が非常に複雑になったもう一つの例です。昔は銀行に入って銀行のマネージャーと話すことで済みました。今、住宅ローンの提供会社は非常に多く、どの会社も競合他社よりも良い借り入れ条件を提示します。そして、借り入れに至るまでに、さまざまなコミュニケーションを駆使しなければなりません。

「顧客中心主義の名のもとに、セルフサービス(人々が自ら、効率的、効果的、便利にサービスを利用できるようにするためのシステム設計アプローチ)とセルフサポート(問題が発生した場合のセルフサービス)を区別せず、ごちゃまぜにする設計は悪い設計です」とハーバード ビジネス レビューのマイケル・シュレイジは主張します。

顧客体験をシンプルにするということは、消費者が必要な製品やサービスを探すところから、それらを購入しアフターサービスを受けるところまでのすべてのプロセスが、機能的であり明確で、満足のいく結果をもたらすようにするということです。 あなたの会社にお客様が電話をかけてくるとき、コンタクトセンターのオペレーターが十分なトレーニングを受け、お客様のすべての問い対する答えを持ち(それはAIを活用した情報提供や、良く設計されたナレッジベースによってサポートされたものかもしれません)、情報を明瞭に伝達することができ、お客様を混乱させたままにしないことができるような状態にしておいてください。お客様が求めているのは、迅速かつ満足のいく結果です。

また、テクノロジーは有効に活用できる状態にしてください。電話の向こうで待っているお客様にとって、コンタクトセンターのオペレーターが「申し訳ありませんが、画面の読み込みに時間がかかっています」と言うのを聞くことほどイライラすることはありません。

ハーバード・ビジネス・レビューの調査によると、顧客エンゲージメントの取り組みを測る最良のツールは、「消費者がブランドに関する情報を収集、理解、活用(ナビゲート)するのがいかに簡単であったか」、「入手した情報をどれだけ信頼できたか」、「与えられた選択肢を評価することができたか」を測定する「意思決定の容易度指数(decision simplicity index)」であるとのことです。ブランドが、購入の意思決定のジャーニーを容易にすればするほど、意思決定容易度のスコアが高くなります。調査においてスコアが上位25%にあった企業は、下位25%のスコアとなった企業と比較して、購入を検討している消費者に購入される確率が86%も高いという結果が出ました。その企業は、再購入される可能性が9%高く、他の人に推奨される可能性も115%高いという結果が出ました。

KISSの原則

すべての新しいマネージャーが学ぶべき最初のレッスンの一つは、KISSの原則を活用するということです。「シンプルにしておけ!この間抜け(Keep It Simple, Stupid!)」 これは今日でも有効であり、顧客体験管理に適用する必要があります。

顧客接点の対応プロセスを開発する場合は、そのプロセスが最大限にシンプルになっているかを評価する必要があります。たとえば、プロセス中のすべてのステップは必要ですか?すべてのステップは、顧客体験に価値をもたらしていますか?一部のプロセスは、単に顧客に不満を残すものになっていませんか? プロセスのすべてのステップは、最終目標の達成に向けて、お客様を正しい方向に導いていなければなりません。

グローバル・コンサルティング会社であるコーポレート・エグゼクティブ・ボード(CEB)社によると、カスタマーサービスの接点において、ほとんどの顧客がロイヤルティ低下の機会に遭遇しています。その例は以下です:

  • 56% が、問題を再説明する必要があったと報告
  • 57% が、Webから電話に切り替える必要があったと報告
  • 59% が、問題を解決するための中から高程度の努力を要したと報告
  • 59% が、電話転送を経験したと報告
  • 62% は、問題を解決するために会社に繰り返し連絡する必要があったと報告

どんな組織も採用することができる、自社のビジネス目標との顧客の問題解決の両方を整合させ、顧客体験を向上させるステップがあります。

  • プロセスを理解しやすくすること
  • お客様に不必要な意思決定を強いないこと
  • 待ち時間を最小限に抑えること
  • お客様に同じ情報の再提供を依頼しないこと
  • 複雑さを不満の原動力としないこと
  • プロセスを見直し、お客様の人生を可能な限りシンプルなものにすること

オリジナルの記事は以下です。
https://www.copc.com/complexity-killing-customer-experience/

 

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