顧客満足を左右するチャネル戦略最新トレンドについて ~COPC通信 vol.6~

2023.11.20

COPC通信は、コンタクトセンターマネジメント規格(COPC規格)をもとに、
パフォーマンス向上のヒントをお届けする連載コラムです。

組織のカスタマーサービス・チャネル戦略を適切に実行することで、運営コストを削減し、顧客満足度を高めることができます。
弊社がCOPC社と行った最新のグローバル調査によると

  • 顧客の70%は世界レベルのカスタマーサービスを受けられるとわかっていたら今よりも高い金額を払うことも厭わない
  • 顧客の65%はカスタマーサービスの悪さが原因で他社に乗り換えたことがある

と回答し、カスタマーサービスは組織・ブランドの印象を決める重要な役割を果たしていることがわかりました。

今回はこのカスタマーサービスにおけるチャネル戦略について、上述の最新グローバル調査:COPC Global Benchmarking Series 2023第一弾「顧客体験の理解と戦略」の中から調査結果を抜粋して、チャネル戦略のポイント、トレンドをご紹介します。

◆関連リンク

GLOBAL BENCHMARKING SERIES2023第一弾:顧客体験の理解と戦略

現場調査、経営インタビュー、消費者への調査を組み合わせることでコンタクトセンターとカスタマーサービスおよびCXトレンドを紐解いた全88ページのレポート。

カスタマーサービス・チャネルの好みの変化

カスタマーサービス・チャネル戦略とは、商品・サービスを顧客に届けるための組織の戦略/計画です。チャネルは対面、電話、Eメール、Webなど顧客への販売やサポートを含む顧客体験の提供(テクニカルサポート、カスタマーサービス、情報提供など)を行う場として重要な役割を担っています。

誰かと話すのが好き、人から聞いて安心したい、自分でサッと解決したいなどチャネルに対する顧客の好き嫌いも様々で、これは変化するものでもあります。昨年から今年にかけてもCOVID-19の状況緩和など変化がありましたが顧客のチャネルに対する好みはどのように変わったのでしょうか?これを調べるために上述の調査で以下の質問をしました。その結果がこちらです。

GBS2023 顧客体験の理解と戦略 チャネルの好みと利用率

COVID-19で利用率がさらに高まったセルフサービス・テクノロジーまたウェブチャットが、チャネルの好みが最も高くなったチャネルでした。顧客のチャネルの好みは変わります。外部環境の影響も受けますが、組織が提供するサービスも影響を与えます。現状の顧客体験のレベルとその変化を把握することで顧客習慣の変化を捉え、将来的なチャネル戦略に備えることが不可欠です。

カスタマーサービス・チャネルごとの顧客体験

次にご紹介するのが上述のチャネルごとの顧客体験です。顧客は、例えば問題の解決などのサービスを受けるために複数ある中のどのチャネルを選ぶか、その選択権を持っていることに加えて、多くの場合「初回の連絡で解決すること」を期待しています。初回の連絡で解決しなかった場合、同じチャネルまたは他のチャネルを渡り歩きながら解決のために努力をします。この、複数のチャネルを渡り歩きながら解決する一連の流れを「マルチチャネル・ジャーニー」と弊社では呼んでいます。

そもそもマルチチャネル・ジャーニーを体験しよう!と思っている顧客はいません。顧客は自身でよく問題の複雑さが理解できている場合、または過去に同様の経験がある場合を除いては初回で解決されることを期待するものです。解決のための連絡回数が増えれば増えるほど、結果的に解決したとしても顧客体験は悪くなることも今回の調査でわかりました。 レポートにはチャネルごとの結果が記載されていますがこのコラムでは電話のみご紹介いたします。 

GBS2023 顧客体験の理解と戦略 電話チャネルにおける顧客体験指標

図の右側にあるのが解決のために必要だったコンタクト(連絡)の量ごとに顧客体験指標をまとめた結果です。コンタクトの回数が増えることに解決したとしても下がっていることが確認できます。CSAT(顧客満足度)でいえば3回以上電話する必要があった場合1回での時と比べ20ポイント以上低下することがわかりました。

またNPSでも大きく下がっていることがわかります。NPSは売上と相関する場合が多いため初回の解決率は顧客のためだけでなく、ブランド・組織全体の貢献にもなります。これを実現するためにはカスタマーサービスを提供しているカスタマーセンター・コンタクトセンターが主体となって、問題・問題解決の複雑さをサービス設計から解消していく必要があります。

デジタルチャネルとヒューマンチャネル

上述の通り顧客は初回での解決を期待してブランド・組織へ連絡をします。きっと解決しないだろう…と思いながらWebを検索するのではなく、答えがあるに違いない!と期待をして検索をしています。ただし、とくにデジタルチャネルは組織側の問題もあるものの顧客側が「使い方」を習得する必要があります。学習曲線のようなものでデジタルチャネルにはとくに起こりうる現象です。そのため解決を得るために何度もアプリを検索したり、Webの様々なページをみかえしたりしながら解決しているケースもあります。実態として各チャネルのごとに何度のコンタクトで解決できているのか調査をしたのが以下です。

GBS2023 顧客体験の理解と戦略 チャネルごとの解決率とコンタクト回数

特徴的だったのはすべてのチャネルの初回解決率が50%以下だったことです。様々な見方ができますが、顧客が「これぐらいならWebに載っているだろう」と期待してWebサイト(セルフサービスチャネル)にアクセスしていると想像できます。簡単な問題であったとしても初回解決率は41%と高くない結果も特徴的だと見ています。

なお、課題の複雑さごとの分析もレポートでは記載しておりますのでぜひご覧ください。

まとめ

間違いなく組織側も顧客側も利用率が伸びているチャネルはセルフサービスチャネルです。ただしデジタルトランスフォーメーションが先行しすぎてお客様目線が薄くなってしまったサービスも同時に増えてしまっているのが現状です。顧客はチャネルの趣味趣向はあれど、少しでも早い、少しでも楽な解決を望んでいます。組織がこの期待に応えられないとき、顧客は期待のしていないマルチチャネル・ジャーニーを組織に強要されることになります。

GBS2023 顧客体験の理解と戦略 マルチチャネルジャーニーの理由

今回の調査ではこのマルチチャネル・ジャーニーを利用した顧客のうち、半数以上である60%がそのジャーニーの複雑さやカスタマーサービス・プロセスの設計が不十分だったために、複数のチャネルを利用せざるを得なかったと回答しており、これが満足度の低下につながっていることもわかりました。

問題が複雑であればあるほど、解決は難しくなりますが、組織は、複雑な問い合わせを事前に特定し対策を講じるべきです。未解決の業務は顧客の再コンタクトによるコストの圧迫、NPSの低下につながるからです。適切なチャネルの計画とそれを含むサービス設計によって、顧客が最も望む少しでも早い解決・少しでも楽な解決を提供することができます。

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GBS2023について

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