人材定着にはこんなやり方もある!海外経験談②
皆さん、こんにちは。Anneより引き続き海外経験談をご紹介いたします。
今回のトピックは「VOE(Voice of Employee)収集」です。
まず、前回の人材マネジメント関連海外経験談①をご一読頂き、ありがとうございました!
ブログ発表後、下記のご質問を頂きました:
「この会社ではどんな手法を使って、オペレーターの声を集めたのか教えてほしい。」
「こういう正直なコメントをどうやったら集められたのか知りたい」
さすがプロシードのクライアント様!良い質問です!
頂いた質問をきっかけとして、今回のトピックを「VOE収集」にしました。
確かに、正直なコメントがないと、有効な改善対策を作るのは難しいですね。皆さんも、VOE収集について、普段困っていませんか。
普通、VOEは社内すべてのスタッフではなく、顧客と接するスタッフの声を指しています。戦略上の重要度では、VOE収集はVOC収集よりも高いかもしれません。
ここで、注意してほしいのは、VOEというのは、口から出た声だけでなく、意欲やモチベーションなど、「潜在的な声」も指します。
また、モチベーションは感染するものなので、誰かのモチベーションが低ければ、仲良しのメンバーや周りのメンバーに広がってしまい、センター全体のクオリティーを下げたり、離職や欠勤を増やしてしまうことになりかねないため、油断は禁物です。
モチベーション低下傾向のあるスタッフが退職しないよう、モチベーションを上げることはVOE収集のメインの目的と理解して頂いて結構です。
では、モチベーションが低下しているか、低下の原因は何か、改善の可能性はあるのかについて、どのように判断すればよいのでしょうか。
もちろん、普段の欠勤や勤務態度などからも、ある程度は判断できます。欠勤は通常退職の前兆と見なすことができるため、欠勤が増えると、離職のリスクも高くなるという共通の認識があります。ただし、欠勤が頻繁に発生してから面談や改善活動を行っても、基本遅すぎます。
意見箱やラウンドテーブル、面談や従業員満足度調査など、多々方法がありますが、正直なコメントがない限り、全て運営上の無駄なコストとなってしまいます。
実際、正直なVOEの収集は、多くの企業の共通課題です。
まず皆さんにも考えていただきたいのは、何故正直なコメントの収集は難しいのか、ということです。
スタッフにとって言いたくない理由は基本二つあると考えられます。
・ネガティブな発言は、自分自身に悪い影響を及ぼすリスクが高い
・言っても改善できなさそうなので無意味
しかし、実はもう一つあります。それは、スタッフ本人でも潜在的なネガティブな声を意識していないということです。
ここで、冒頭のご質問に対して、海外経験談①に書いたあの会社の方法をご紹介します。
- 離職時期を分析した結果、旧正月後の3か月間以内に集中している傾向が分かりました。
- 離職対象者を分析した結果、その期間中に離職したスタッフに、旧正月実家に戻った人が多いということが分かりました。
- 無記名従業員満足度調査を新人も含めて全員へ実施しました。その中に、仕事の達成感についての質問があり、振り返って分析した結果、離職したスタッフは普段から仕事に対する達成感が低いことが分かりました。
- 上記全てを一緒に考えると、旧正月実家で仕事の達成感と関わる何かがあったため離職したと仮説を立てました。
- この仮説を前提として、旧正月実家に戻るスタッフ全員を対象者として、普段の会話(ランチ時間や休みの時間など)を通じて、「旧正月実家に戻ったらご両親や家族の方々にお仕事の話とかはするの?どんなふうに紹介したの?ご両親は何と言った?」など、リーダーやSVからさりげなく聞いてみることにしました。スタッフの答えから、基本仕事について両親や家族の人から聞かれること、その本人と両親や家族の、仕事に対する考えが何となく分かりました。
- 上記を纏めて、従業員満足度調査(もちろん無記名)に二つの質問を追加しました:1、「もし将来あなたは退職する可能性があるなら、下記のどれが原因になりそうでしょうか。」(選択肢に達成感などがある)
2、「仕事を続けるか、辞めるかについて、ご両親や家族からのアドバイスや意見は大事ですか。」
結果を分析した結果、達成感の低いスタッフには、両親や家族の意見を大事にしている人は少なくないということが分かりました。 - その会社はここまでもどんなやり方が一番適切なのかは分からないが、試しにそのやり方を実施してみました。
- その後改善できた実績から、仮説が確実であることと改善ができたことを検証できました。
その会社の事例から、正直なコメントを収集するには、「客観的なデーター分析+適切な聞き方+全面的な無記名調査+普段明るい職場環境作り+積極的な改善姿勢」は全て不可欠であることが分かりました。
この事例は、皆さんの会社に全て適用できるというわけではありませんが、参考になれば幸いです。