「世の中のことは、数学的に表すことができる」
このコラムで、難しい哲学的な話はする気(すること)はありませんが、身の回りや世の中には、「指標」と「数値」があふれていて、身近に数値を感じない日はないといっても過言ではないでしょう。
朝起きて蒸し暑さを感じれば「気温」という指標で温度を知り、時計を見ようとスマホを除けば、画面には「バッテリーの残量」が指標として数値で表示される。
私たちは、当たり前のようにその指標の数値をみて現状を判断していますが、「その指標の意味(定義)」を理解しているからこそ、その数値の持つ意味を把握し、その状態を理解することができるのです。
例えば受電業務を行っている多くのコンタクトセンターでは、多少の名称の違いはありますが、「応答率(放棄呼率の逆)」の測定を行っています。私がコンタクトセンターにて研修や現状調査を実施する際、「応答率」という言葉を聴くと、分母が「着信呼」、分子が「応答呼」を思い浮かべるのですが、現場で数値管理をされている方に伺うと、定義が異なるケースがあります。
例1:分母「着信呼数」、分子「応答呼数」(24時間受付センター、いずれも夜間帯を除く)
例2:分母「着信呼数」、分子「応答呼数」(繁忙日は除く)
例3:分母「7コマ(営業時間内の1時間毎のコマ数)」、分子「**件以上応答したコマ数」
いかがでしょうか、いずれの例も「応答した事実」を理解・把握するための指標であることは間違いないでしょう。しかし例1と例2は、()内の注釈がつくだけで意味が変わりますし、例3は1時間毎の応答状況を把握するための指標です。
大切なポイントは、その測定している“応答率”が「何の目的」で測定され、その結果を見ることで「何を把握できるのか」ということ、更にその結果を受け取ったすべての人が、「正しく理解できること」なのです。つまり、例1~例3の“応答率”が「間違えていない(=正しい指標)」であるためには、目的の共有と正確な把握と理解が必要である、ということです。
また、複雑なのは、1つの指標では説明できない場合ことがあることです。例えば「気温28度」は、「湿度」という別の指標を同時に把握することで、ジメジメして暑苦しいのか、カラッとした過ごしやすい気温なのかを判断することができます。
私どもが審査や研修、コンサルティングに用いているCOPCでも、多くの「指標」を扱っていて、その1つ1つの指標に意味があります。中には、その1つの指標を見る事で確認できることと、複数の指標を組み合わせて見ることで、確認することができる実態もあります。
次回以降、主にコンタクトセンターで扱う指標について深く掘り下げ、考察していきます。