日本と香港でオンラインショッピングの体験の違いを調査、分析
Part II [分析]

2021.04.24

前回は日本と香港でオンラインショッピングの体験の違いを調査し、4つのカスタマージャーニーを作成しました。国籍、言語、所在地の違いでカスタマージャーニーもそれぞれの違いが分かりました。今回は顧客体験を比べて、日本のアパレルサイトの良い点、課題点を分析し、改善ポイントを挙げたいと思います。

■日本と香港のアパレルサイトの顧客体験の比較表

表から、日本のアパレルサイトは日本人のお客様を中心に、サービスを提供していることが分かります。言語サポートは日本語のみ、支払い方法も日本クレジットカードのみとなっています。メール以外の問い合わせチャネルはありません。しかも、問い合わせに対する返答はかなり遅いです。そのため、顧客満足度が低くなることが想定されます。一方で、日本アパレルサイトにも、良いところがあります。

■良い点

  1. Youtubeで宣伝している。
    顧客ターゲットは若い世代なので、グーグル(香港のアパレルサイトの宣伝手法)よりYoutubeの方が発信しやすいですし、若い世代への宣伝効果は高いです。
  2. 送料無料キャンペーンをやっている。
    送料で購入を躊躇してしまうお客様の悩みを解決し、売上も向上できます。
  3. 注文時にアンケートを行う。
    顧客の好みを把握でき、商品開発にも役立ちます。
  4. ポイント制度がある。
    溜まったポイントを使って、再度サイトで服を購入できますし、ロイヤリティも向上できます。
  5. 事情説明でお客様の理解を得ている。
    注文が殺到している場合、商品のお届けに通常より時間がかかることをきちんと注文確認前にお客様に伝えています。

■課題点

  1. 問い合わせチャネルが不足している。
    現時点では、問い合わせチャネルはメールしかありません。顧客ターゲットは若い世代なので、SNSのダイレクトメッセージが使えると便利です。
  2. お客様の気持ちに寄り添っていない。
    日本在住の日本人カスタマージャーニーで、メールの内容を把握することができず、お客様に不快な思いをさせています。様々なケースを想定して対応できれば、メールアドレスに該当する注文がなかったとしても、臨機応変な対応ができ、お客様も満足できたはずです。
  3. 注文完了までに時間がかかる。
    会員登録が必須なので、注文を完了するまでに時間がかかります。急いでいるお客様の顧客満足度が下がる可能性があります。
  4. 発送に時間がかかる。
    注文が殺到しているため、普段より1.5倍時間かかります。同じく、急いでいるお客様は注文をやめるかもしれません。
  5. 外国人へのサポートがない。
    海外または日本在住の外国人にサービス提供するために、多言語サポートと支払い方法を追加すべきです。また、日本在住の外国人カスタマージャーニーでは、英語の問い合わせメールは無視されました。無視ではなく、できる限りお客様に返信すべきです。支払い方法も海外クレジットカード利用可能にして欲しいです。

良い点と課題を合わせて、香港のアパレルサイトを参考にした際の、改善ポイントは以下の通りです。

  1. 問い合わせチャネルを追加する。
    チャットボットを追加し、そこで回答できないものは有人チャットで対応すれば、リアルタイムに問題を解決できるので、顧客満足度も向上できます。
  2. 問い合わせの返信スピードを上げる。
    お問い合わせに関する自動返信メールを送信し、問い合わせ内容に対する回答は24時間以内に返信します。
  3. 会員登録を必須としない。
    ポイントを貯めたい等、希望するお客様のみ会員手続きを行うようにします。
  4. 支払い方法を増やす。
    コンビニ払い、海外デビットカードとクレジットカード等の支払い方法を追加します。
  5. 発送時間を短縮する。
    通常時10日で発送されますが、今はもう翌日に配送される時代なので、このままではいけないと思います。先ずは1週間内に発送できるように改善を推奨します。
  6. 多言語対応を行う。
    Webサイトも含め、多言語対応を行います。

近年、日本に住む外国人はどんどん増えています。これからも増えていくと思います。外国人に対するサービス提供は必要不可欠です。日本にいる外国人は、必ず日本語できるとは限らないので、多言語対応を提供できることがおすすめです。多言語サービスがあれば、外国人にとって利便性が高いので、その企業を積極的に「選択」すると考えられます。結果、顧客満足度が上がるはずです。顧客ロイヤルティも上がるでしょう。

以上、日本と香港でオンラインショッピングの体験の違い調査でした。

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