今回も毎月実施しているGBS第7回の内容をダイジェストでお伝え致します。今回のテーマはコンタクトセンターの従業員体験についてです。
弊社とCOPC社は昨年10月~12月の期間で、約1,000名のセンター関係者および、約4,500名の消費者に対してアンケート調査を実施し、その結果を12個のレポートにまとめました。
さらに、このレポートを活用して経営層やカスタマーサービス・CX部門のマネージャー向けに重要なポイント・今学ぶべきテーマをウェビナーを通じてお伝えしております。このレポートとウェビナーを合わせたプログラムがGBSです。
毎月実施しているこのGBSですが、今回は先日開催いたしました第7回の内容をダイジェストでお届けします。
尚、次回は「チャネルマネジメント」をテーマに11月17日13:00~14:00まで開催いたします。ご興味がある方は是非以下のリンクよりお申込みください。
当日のメインメッセージ(グローバルアンケート調査結果)
- 従業員(今回の場合フロントラインスタッフ/オペレーター)体験の最初の段階である「採用」において、必要な時に必要な人数採用できているかだけでなく、必要な人材を採用できているか?の指標を管理することが重要である
- 採用の次の段階が「初期研修」(オンボーディング)。こちらでも重要なのは如何に良い研修を実施できたか?という指標の管理と、良い研修の定義である
- 初期研修の次の段階は、日々の仕事の過ごし方。今回の調査で従業員満足度と強く相関しているとわかったのはone on oneの実施である
- 日々の仕事に含まれる福利厚生の提供は各社各様。自社のカラーを正しく反映させることができるかが重要である
1. 採用
上の図は今回のアンケート対象にフロントラインスタッフ(オペレーター)の採用において実施している選考方法を聞いた結果。ほぼすべての組織が面接を実施しており、以降のタイピングテストなどは、ばらつきがあることがわかった。
採用においてもっとも重要なのは自社に適した選考方法を決定、運用することであり、これを実践するためには「必要な時に必要な人数採用できたか?」という採用納期の測定だけではなく、「必要な人材を採用できたか?」という採用の品質の測定が必要になる。
2.初期研修
左側が今回のアンケート対象に、実施している研修の種類について質問した結果、右側がそれら研修の所要時間について質問した結果である。集合型のバーチャルトレーニングなど比較的最近のものもあるが、それ以外は過去から一般的だった研修実施方法である。とくに個別OJTは過去から様々な組織で採用されている方法である。ここで重要なのはOJT担当者が、センターの求める成果をあげるための十分なスキルを保有しているか?ということであり、前述の採用同様サブプロセスのマネジメントが重要である。
研修の実施時間は組織によってばらつきがあるものである。統計的にみると70%以上の組織は初期研修は10日以上実施していることがわかった。何日間(何時間)研修を実施するのかはもちろん重要であるが、さらに重要なのがどのような研修を実施するのか?という研修の品質の管理である。「入社後1年経過」した従業員を対象に「初期研修満足度」について調査を実施したところ満足度は75%であった。一見高いように見えるが25%は「満足」と明確に回答しておらず、さらに、「入社後1年経過」している従業員が対象であることから実態はさらに低い可能性があり、大きな改善機会が潜んでいる可能性が高いことがわかった。
3.デビュー後の管理
上の図右側は、従業員へone on one実施頻度を質問した結果。57%の従業員は最低でも月に1回受けていることがわかった。また、左側はone on oneを受けている/受けていない従業員の満足度のクロス集計結果。内容を度外視し、実施有無のみで見た場合でも満足度に差があった。つまり、one on oneは従業員満足度に相関があるということである。今回の調査の結果実施有無だけでも差異が現れたがもちろんその内容も重要である。以下の福利厚生のように「何をするか」も重要であるが、ポイントは施策(one on oneや福利厚生)を通じてどのように自センターのカラーを表現するか?何を従業員に伝えたいか?を定義し、それを実践していくことにある。
まとめ
今回の調査の結果、フロントラインスタッフの従業員満足度は63%(上の図左側)であることがわかった。コンタクトセンターのみならずカスタマーサービス組織におけるフロントラインスタッフは、「一般的」に創造的な仕事ではなく決められたことを決められたように案内する個々人の裁量権が低い仕事である。自身の長所や強みの発揮は、ワークエンゲージメントや仕事における幸福度に相関することが各種研究から証明されているが、それらの機会が少ない職種であるイメージが強い。しかし、従業員満足度、エンゲージメント、幸福度が高い組織も確かに存在する。これらの組織では福利厚生に代表されるような衛生要因に力を注いでいることはもちろん、より注力しているのが動機付け要因となる「仕事そのもの」の改善である。上記にて紹介した各種従業員体験プロセスの指標、サブプロセス管理や、いかに従業員に創造的かつ長所や強みを発揮する機会を与えることができるかを真剣に考え実践している。
この創造的かつ、長所や強みを発揮する機会には様々な例があり各社各様である。例えば、職場改善のための小集団活動の実施もあれば、VoC(Voice of Customer-顧客の声)の収集/改善提案からのカスタマーサービスプロセス自体の改善に参与される方法もあれば、従業員体験全体の改善のためにVoE(Voice of Employee-従業員の声)を提供する方法もある。
今回ウェビナー内容の一部をご紹介いたしましたがレポート(英語版)については以下よりダウンロード頂けます。各統計データが何を意味するのか?つまり、どのようなアクションが求められるのか?などレポートの内容を紐解くウェビナーは随時お申込み受付中です。
ご興味がある方はぜひお申込みくださいませ。