COPC通信は、コンタクトセンターマネジメント規格(COPC規格)をもとに、 パフォーマンス向上のヒントをお届けする連載コラムです。
CX(顧客体験)の重要性が高まっていることから、顧客接点の重要な位置づけであるセンターは、従来の「コストセンター」から、会社貢献できる「プロフィットセンター」という考え方にシフトしてきました。プロフィットセンターとは、すぐ目の前にある収益と考えがちですが、顧客ロイヤルティ向上によりLTV(Life Time Value)を高めるという観点もあります。
この実現にはとくに「顧客の声(VoC=Voice of Customer)」の活用が必要不可欠ですが、自己流の運営でうまくいかないケースもよく目にします。今回のコラムではCOPC®規格ベストプラクティス研修でご紹介しているVoC分析のヒントについてお伝えいたします。
VoC分析の基本
①どんな声でも集める
全体的にどのようなご意見が多く寄せられているのかを把握する上でも、声の大小や種類に関係なく、集めることが重要です。 最近では音声のテキスト化・テキストマイニングなどの活用も目立ってきています。
②集めた顧客の声は、種別ごとに集計し、分析する
集めた声の傾向分析、他の指標と組み合わせた分析をし、改善すべき点の把握、そして実施した改善活動効果の確認も行うことが重要です。また、改善活動においてはセンターだけではなく、関係各部署と連携することで電話の満足度だけではなく、商品やサービス全体の満足度(≒顧客体験)の更なる改善を期待できます。
分析例
A.改善優先順位を決めるための分析例①:AHTとコールリーズンのクロス分析
コールリーズンごとにAHTと呼量で四象限にまとめて改善優先順位を決める分析手法です。一般的にAHTも呼量も大きいコールリーズンが、短くすることで、またはデジタル移行することで業務量削減効果が大きく、優先的に改善に取り組むべきものになります。AHTや、呼量など単体で比較するのではなく複数の指標を組み合わせて分析することで事業目標にマッチした優先改善対象を見つけやすくなります。
B. 改善優先順位を決めるための分析例②:モニタリング結果とポジティブな声の比較
顧客満足度の点数が高いコール、またはフリーコメントにてポジティブな意見をもらったコールは、モニタリングでも高評価になっているのかの分析です。
顧客からはポジティブな反応があるにも関わらず、モニタリングでは低評価になってしまう場合があります。逆に、顧客からネガティブな反応があるにも関わらず、モニタリングでは高評価になってしまう場合もあります。
顧客満足度アンケートの結果が高いオペレーターとそうでないオペレーターのモニタリングスコアを比較することで上述のような本来起こるべきでない矛盾が起きていないか分析できます。
いずれの場合でも、会社側の基準と顧客の基準がずれている可能性が高くプロセスの改善が必要になることを表しています。このような場合、一般的にモニタリングやカリブレーション(評価基準合わせ)、顧客満足度アンケートなどそのものの改善が必要です。
C.実践した活動の改善効果分析例:CX調査結果への影響
なんらかの改善を実施したコールリーズンについて、そのコールリーズンにおける顧客満足度を見る、または「ネガティブなVoCが減ったか?」、「アンケート結果が向上したか?」を見ることでこれまでの改善活動の効果測定が可能です。
VoC収集・分析・改善活動がうまく回ると、上述のモニタリングプロセスをはじめ様々なプロセスの改善につながり、結果、全体のセンターパフォーマンスが向上します。
このような会社貢献できるマネジメントに関しては、COPC®規格ベストプラクティス研修にてさらに詳しくご紹介しております。ご興味がある方はぜひ以下のリンクから詳細をご確認ください。
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