伝えられていますか?電話応対でオペレーターが見逃しがちな顧客の反応 ~CX通信 vol.2~

2023.03.27

CX通信は、国内の顧客体験関連ニュースから
カスタマーセンターでも活かせるポイントをお届けする連載コラムです。

弊社がCOPC社と昨年行ったグローバル調査の結果、AIをカスタマーケア・サポートに活用している組織は37%、また今後導入の計画がある組織が38%という結果でした。

コンタクトセンター AI 利用状況

なお、現在導入されている組織の83%は顧客向け、48%はオペレーター向けに活用されていました。今後さらなる活用が期待されるAIですが、日本でもボイスボットによるカスタマーサービスが増えています。 

関連記事:入居中の問合せ対応に、AI音声対話エンジンとAIチャットボットを導入 

さて、そんなAIは音声感情認識という技術でも研究が進んでいます。
2023年現時点では応対におけるモニタリングのサポート機能として活用されているケースが多いですが、AIが顧客の心に寄り添った応対をする日も遠くないのかもしれません。 

しかし、まだまだ各組織においてはボイスやチャットなどのボットを含むデジタルチャネルで解決できなかったお問い合わせは、次に人(オペレーター)が受け付けるプロセスでカスタマーサービスを提供しています。

ここまで来られた顧客はただ単に「解決したい問題がある」顧客ではなく、「一次解決されていない、解決したい問題がある」顧客であり、
もしかすると一つ前のチャネルで情報収集をする中で「解決したい問題の根深さを知り、もっと不安になっている」顧客かもしれません。 

今回のコラムは、そんな顧客のお問い合わせを電話チャネルで受け付ける際にオペレーターが提供すべき「人ならではの温かい、寄り添いのある応対」がテーマです。

これを実現するために本来重要ではありますが、弊社で行っているミステリーコールでもよく見逃されているオペレーターが多い「顧客の反応」についてお伝え致します。

ぜひ貴社の研修やモニタリングなどのマネジメントプロセスにお役立て頂ければ幸いです。 

電話応対 顧客体験 顧客満足 反応すべき 反応

電話応対を通じてCX向上させるために見逃してはいけない顧客の反応 

  1. 無言 あるいは そう…なんですね… などの歯切れが悪いお返事 
  2. なるほど↑ などの語尾が上がるお返事 
  3. へぇ→ などの平坦な反応 
  4. 顧客が主体的に申告した内容

①無言 あるいは そう…なんですね… などの歯切れが悪いお返事 

このお返事は以下の二つのパターンが多いです。 

A.オペレーターが伝えた内容を理解できていない 
・理解できていない、あるいは時間がかかっている 

B.前後のことを考えていて次の言葉が出てこない 
・お問い合わせ内容に対する回答は理解できているが、電話を切ったあとのステップについて先に考えている 
・期待していた内容、聞いていた内容と異なりがっかりしている 

この場合そのまま話を続けてしまうと不親切な応対になる可能性があります。このような反応があった場合、顧客が理解できているか?いないのであれば再度説明が必要か?あるいは不明点や確認したいことがないかを確認、言い換えて説明などすることでポジティブに終話することができます。

②なるほど↑ などの語尾が上がるお返事 

このお返事は以下のケースが多いです。 

・オペレーターが伝えた内容が期待以上 
・不安が払しょくされ安心・嬉しい 

この場合、関連する情報(例:商品・サービスの更なるメリット、もっと簡単に解決する方法)をお伝えすると顧客の行動を更に促すことができる可能性が高まります。逆にこのような反応を逃すことは機会損失にもつながってしまいます。 

③へぇ→ などの平坦な反応 

このお返事は以下のケースが多いです。 

・興味がない 
・お問い合わせ内容、あるいは本来知りたいことと異なっている 
・もうすでに内容は理解できているのでそれ以上の説明を必要としていない 

この場合そのまま話を続けてしまうと要点を得ない応対になる可能性があります。このような反応があった場合、そのテーマでは更なる情報提供は抑えたほうが良いです。 

④顧客が主体的に申告した内容 

例えば、顧客がお電話の冒頭で以下のような情報提供をするケースです。 

・「先月分の振込ができなかったので電話しました」  
・「私○○町の□□(名前)です」 

顧客自ら申告したという点に気づいて謝辞をお伝えすることがポイントです。 顧客がオペレーターや会話そのもののために行った「気遣い(あれこれ聞く手間を省いて早く電話を終わらせるため)」に反応できると顧客はその思いが伝わったと感じポジティブに受け取って頂けます。 


電話チャネルは顧客とオペレーターが即時情報交換できるその性質上(顧客もオペレーターも課題・真因の理解をお互いに質問し合うことにより短時間で把握しやすい)、課題の解決力が高いチャネルです。また、この電話チャネルの性質はただ単に電話の要件解決のためだけでなく、電話を含むジャーニー全体をエフォートレスにするために活用されるべきです。

ただし、センターマネジメント方針として、電話の問題解決やATT(AHT)優先しすぎるなど電話チャネル単体の指標ばかりにフォーカスされていると、本来カスタマーサービスを通じてあげないといけないCXがあがらないリスクがあります。 

この方針を決めるうえで多くの組織で分析されているのがコストです。 

冒頭でご紹介したボットを含むデジタルチャネルの導入が進んでいる中、逆に「電話一件あたりのコストが上がった」組織も少なくありません。これは、デジタルチャネルで解決されなかったお問い合わせ、つまり難易度の高いお電話を含むヒューマンチャネルに入ってきているためAHTが上がっている可能性があります。

その場合、電話一件あたりのコストだけではなく、「顧客一人当たりのカスタマーサポートに関するコスト」も見ることを推奨します。簡単なお問い合わせはデジタルチャネルを通じて対応でき、AHTは伸びているにしてもセンター全体のコスト効率は下がっているかもしれません。 

コンタクトセンター コスト 分析 視点 ポイント
関連ブログ> https://proseed.co.jp/blog/global_benchmark_series_reportno10/

コストもオペレーターのモニタリングも多角的な分析を通じてCX向上のヒントをつかむことができます。弊社では組織の顧客体験向上のために重要な領域をミステリーコール含む様々な診断から見つけるご支援をさせて頂いております。

弊社のミステリーコール調査含めた各種診断について詳細をご希望の方はお問い合わせください。


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