昨年、産休育児休暇から復職しました。
育児をしていてよく思うのは、頑張っているのに褒められることは本当に少ない。
親だから当然だから、褒める必要はない?でも、育児って、学校でも病院でも教えてくれないんですよね…。アセスメントなどで、オペレーターへのインタビューにて「最近褒められたことはありますか?」と尋ねると「いいえ」という回答をよく聞きます。
反対に、モニタリングやコーチング研修で模擬フィードバックをしていただくと、「指摘が多く誉め言葉が殆どない」という場面にも多く出くわします。
なぜ褒めることが重要なのかを、「褒め」の役割と効果から考えていきましょう。
「褒め」の役割はいくつかありますが、主なものを挙げます。
- フィードバック:自分の行為や状況が望ましいものかを知らせる
- 強化:望ましい行為や状態を方向づけし、促進し、望ましくない行為や状態を抑制する
- モチベーション:特定の行為のモチベーションを高めたり、維持したりする
- 関係調整:褒めてくれた相手に対する好感度が変化するなど、人間関係に影響する
- 自尊心の形成:自分への関心を感じられることで、自分を大切にしようとする
つまり、「褒められると人は嬉しいし、お互い気分もいいからフィードバックで褒めましょう」というような単純なことではないことがわかりますね。
褒められると嬉しいことは事実ですが、その背景には、「自分に対して他者が関心を持ってくれていること」が嬉しいという重要な要素があるのです。
この要素が、自尊心(自分は価値がある人間であるという意識)を醸成するわけです。
なお、正しく「叱る」ことでも、同じ効果が生まれます。
では、フィードバック時の「褒め」に置き換えて考えてみましょう。
コンタクトセンターで言えば、オペレーターがコールフロー通り、センター方針通りに対応できていることは「当然」ではなく、そうしようと常に意識してできているわけです。例えば、顧客満足度85%以上の達成を目指すため、1回の電話でわかりやすく回答するという方針であれば、そうするための商品知識、説明の工夫等、各人が努力している点を「褒め」、今の状態が望ましく、この状態を維持し、努力を続けようというモチベーションに繋げる。
そして、適切な「褒め」により、オペレーターとSVやマネジメント層との信頼関係をフィードバックの度に構築していく、というわけです。
センターに限らず、どの職場でもフィードバックは定期的に行われていると思います。
有意義なフィードバックにするためには、どうしたらいいでしょうか。
「褒め」はマニュアル通りでも、的外れでも過剰でも効果はありません。相手に対するオーダーメイドです。
日常業務の中で「褒め」アンテナを張り、「褒め」ポイントを探してみましょう。それが、まさに関心です。「褒め」は一日にして成らず、です!
次回は、効果的な「褒め」と「指摘」の方法についてです。