約75%の組織がデジタルチャネルの人気を過大評価?グローバルの組織と顧客に対して「コンタクトセンターのテクノロジー」についての調査を実施

2024.04.01

多くのコンタクトセンターで顧客体験及び生産性向上の重要なカギを握り、注目度がますます高まる最新テクノロジーの活用についてのアンケート調査を行いました。

テクノロジーの活用のヒントを得るため、このアンケート調査では組織側に導入や活用の状況を聞くだけでなく、顧客側にサービス体験について聞くアンケートを実施し両者を比較しています。

今回のコラムではその内容の一部をご紹介いたします。ぜひ組織の戦略や運営のご参考にしていただければ幸いです。

  • 調査期間:2023年1月16日~5月31日
  • 調査対象:全世界約1,000名のコンタクトセンター関係者および18歳~60歳以上の男女 5,600名(顧客)
  • 調査方法:インターネット

調査結果トピックス

  1. 多くの組織がセルフサービステクノロジー(※)の人気が高まっていると回答
  2. 90%の顧客が有人対応を選ぶと回答したのに対して、近しい回答をした組織は24%のみで、約75%の組織がセルフサービステクノロジーの人気を過大評価していた
  3. 4/5の組織がコンタクトセンターにおいてAIを活用している、または今後導入の予定があると回答し、そのうち88%が顧客体験の向上が目的と回答した
  4. チャットボットを使った問い合わせで、チャットボットとのやりとりで課題が解決したと回答した顧客は59%のみ

※セルフサービステクノロジー(以下SST)=モバイルアプリ・ウェブサイト・チャットボット・自動音声案内システムなど、カスタマーサービススタッフを直接必要としない顧客自らで課題解決を行えるチャネル

①多くの組織がセルフサービステクノロジーの人気が高まっていると回答

テクノロジーを活用しオペレーターなどのカスタマーサービススタッフを必要とせず顧客が自ら課題解決をできるチャネルが顧客にどれほど受け入れられているかを調査するために、はじめに組織へSSTを含む様々なチャネルの直近の好みの変化について調査を行いました。

コンタクトセンターのテクノロジー チャネルごとの顧客の好みの変化

結果SSTは多くの組織が「チャネルの人気が向上した」と回答し、組織から見て顧客には受け入れられていると認識されていることがわかりました。

②約75%の組織がセルフサービステクノロジーの人気を過大評価していた

多くの組織で人気が上がっていると認識されているSSTが顧客にどれほど受け入れられているかを調査するために、組織と顧客へ類似する以下の調査を実施、両者の回答結果にギャップがあるか分析をしました。

顧客:チャネルに関係なく問題が解決されることがわかっている場合、あなたが希望するチャネルはどれですか?
組織:何%の顧客がSSTよりも有人対応チャネルでの対応を希望すると思いますか?

コンタクトセンターのテクノロジー 組織と顧客の有人チャネルに対する認識の比較

結果、90%の顧客が有人対応を選ぶと回答した。質問には「どのチャネルでも課題解決がする」という前提があるのにも関わらずほぼ全ての顧客が有人対応を選ぶということは、顧客の複雑なニーズ(パーソナライズされた体験を期待)や今日時点で組織が提供しているSSTの品質と精度の低さ(不明瞭なガイダンスや認識に誤りがないか顧客が確認できない一方通行の情報提供)を表していると考えられます。

90%の顧客が有人対応を希望すると回答した結果とは反対に、組織側の調査の回答選択肢でこの結果と最も近い選択肢である「80%以上(の顧客がSSTより有人対応を希望する)」と回答した組織の割合は24%のみで、多くの組織がSSTの人気を過大評価していることがわかりました。

③4/5の組織がコンタクトセンターにおいてAIを活用している、または今後導入の予定があると回答し、そのうち88%が顧客体験の向上が目的と回答した

SSTの中でもとくに近年コンタクトセンターでの導入が進んでいるのがAIです。つぎにこのAIの利用状況について組織へ調査を実施しました。

コンタクトセンターのテクノロジー AIの活用状況

結果75%の組織が現時点で活用している、または今後計画があると回答をしました。また、活用の対象として最も多かったのは「対顧客」でした。

これら75%の組織に対して利用の目的について調査を実施したところ、88%が「顧客体験向上」と回答をし、直接顧客へ提供するサービスへのAI活用であっても、サービスを提供するオペレーターサポートのためのAI活用であっても多くの組織が顧客体験向上を目的に導入・活用を進めていることもわかりました。

コンタクトセンターのテクノロジー AI導入の目的

④チャットボットを使った問い合わせで、チャットボットのみとのやりとりで課題が解決したと回答した顧客は59%のみ

多くの組織が顧客体験向上のために導入・活用を進めているAIが実際に良い体験を顧客へ与えられているかを調査するために、AIを活用した代表的なSSTであるチャットボットについて以下のアンケートを実施しました。

コンタクトセンターのテクノロジー チャットボットの解決率

その結果、チャットボットの解決率は85%でした。同時に調査した電話チャネルの解決率93%と比べると若干低い値であるもののある程度解決力はあるということがわかります。

しかし、チャットボットのみで解決できたと回答したのは59%でした。これはつまり、残りの41%の顧客は電話やEメールなど他のチャネルでもやりとりをしてようやく解決できたということを意味します。

弊社が実施した別の調査において、一つのチャネルで完結(解決)しない問い合わせは、解決したとしても、一つのチャネルで完結(解決)する際の体験よりも低くなることがわかっています。こうした解決力の弱さなどが上述の「顧客から希望されないSST」の状況に繋がっている可能性が見えました。

参考情報

今回の調査ではコンタクトセンターテクノロジーの導入の度合いについて約1,000名のコンタクトセンター関係者に調査を実施しました。その結果全てのコンタクトセンターシステムの利用状況が50%以上を越え、AIだけでなく様々なテクノロジーの採用が進んでいることがわかりました。

コンタクトセンターのテクノロジー イノベーター理論からみるテクノロジーの利用率
※イノベーター理論をもとに、調査を実施したテクノロジーの利用率を図式化

今後もますます盛んに投資をされる分野であることは明らかですが、今回の調査結果から有人対応チャネルが今後も存続することも明らかになりました。真にSSTの活用による顧客体験・生産性の向上を目指すのであれば、まずはSSTの初回解決率を向上させ、テクノロジーと有人対応の良好なバランスを目指し、テクノロジーの活用によるコンタクトセンターマネジメントプロセスの合理化に努める必要があります。

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