最新の顧客体験価値ランキングから学ぶCX向上のためのポイント ~CX通信 vol.1~

2023.02.28

CX通信は、国内の顧客体験関連ニュースから
カスタマーセンターでも活かせるポイントをお届けする連載コラムです。

突然ですが皆様、本格的な讃岐うどんで有名な「丸亀製麺」に最近いつ行かれましたか?期間限定
のメニュー、活気のあるオープンキッチン、賑わい感のある店頭デザイン、店内製造の新鮮な麺や天ぷらが手軽に楽しめるので私はヘビーユーザーです。私が住む台湾にも店舗展開しており、もちろん天丼などのセルフアレンジメニューもあります。丸亀製麺は私の心と胃袋のオアシスです。

さて、そんな丸亀製麺は2022年6月29日に株式会社インターブランドジャパンが発表した顧客体験価値ランキング2022年で1位をとったことをご存じでしょうか?

出典> https://cspace.com/tokyo/cx/cx-ranking-2022/

以下は選出にあたっての文章の抜粋です。

丸亀製麺受賞の理由

業界平均からも前年⽐較からも、「私の⽴場で考えてくれる」顧客体験要素が⾼く評価されています。

  • “⾃家製麺で常に打っているので腰、のど越しを求める私たちにとって、よく理解して提供してくれている” (60 代男性、現ユーザー)
  • “期間限定メニューの再発 売など、利⽤者の意⾒を採⽤した企画を数多くおこなっているから”(20 代男性、現ユーザー)
  • “客が求める味があり、キッチンも公にしている” (50 代⼥性、現ユーザー)
  • “最⾼の状態で提供することにこだわっているように思えるから”(40 代⼥性、現ユーザー)
  • “その時のご時世にあった販売⽅法にとりくんでいる”(30 代⼥性、現ユーザー)

など、変化し続ける⽣活者の気持ちや⽣活に寄り添い、新しいチャレンジを続けたブランドとして⾼く評価されました。”

本コラムでは、そんな顧客体験価値ランキングからコンタクトセンターでも活かせるポイントについてご紹介いたします。

顧客体験価値ランキングについて

同ランキングは、顧客視点でのすべての体験を通じたブランドの「顧客体験価値スコア」を算定・分析しており、今回で4回目となるものです。

商品やサービスの機能や性能などの機能的価値だけでなく、そのブランドや企業に関わるすべての体験を通じて顧客が経験する、喜びや満足感などの情緒的価値まで含めた総合的な価値を数値化しています。

以下がその評価軸です。

  1. RELEVANCE:
    私向けのものだと思える 商品に限らず、そのブランドのメッセージや企業の姿勢などが⾃分の考えや価値観と合っているか
  2. EASE:
    私にとって意味がある たくさんの選択肢の中で、⾃分がそのブランドを選ぶ意味や価値を⽰してくれているか
  3. OPENNESS:
    オープンで、正直である きれいごとではなく、顧客と真摯に向き合い、真に信頼できるブランドか
  4. EMPATHY:
    私の⽴場で考えてくれる ⾃分を理解し、共感してくれているか
  5. EMOTIONAL REWARDS:
    いい気分にさせてくれる⾃分のことを⼤切に扱い、気持ちよくさせてくれるか

上位組織の特徴について

本ランキングを発表したインターブランドジャパンのグループの⼀員であるCSpaceTokyoは、リリースの中で上位組織の特徴について以下のように説明しています。

“今回、顧客体験価値を向上させた 22 ブランドについて、顧客体験 5 つの要素が、スコアアップにどう貢献したかを分析したところ「Empathy(私の⽴場で考えてくれる)」の要素の寄与度が⾼いことが確認されました。これは、コロナ禍で⼈とのつながりが希薄となる中、「私の⽴場で考えてくれる」という顧客体験価値により、顧客との関係性を強化したことを⽰しています。”

コンタクトセンターでできることは?

上記のスコアリングの結果である「CXスコア」はNPSスコアとの強い相関(R2=0.887)が認められ
ており顧客体験を正確に把握できる指標と考えることができます。

1位をとった丸亀製麺ですが皆様もぜひ「丸亀製麺ニュース」と調べてみてください。ブランドとして
非常に社会価値の高い活動を継続的にされているのがご理解頂けるかと思います。

一方で、そんな1位の丸亀製麺であっても本コラムを読んで頂いている方の中には「いやぁあの時そんな感じしなかったけどなぁ」と悪い体験を想起される方もいらっしゃると思います。

そんな悪い体験の由来は、メニューや施設・設備などの標準化されている要素ではなく、カスタマー
サービスや顧客対応関連プロセスなど人によってばらつきのあるものではないでしょうか?

カスタマーセンターに置き換えると、サービスポリシーが顧客のニーズを的確にとらえたものであっても、それに適切に乗っ取らない応対をオペレーターがしてしまった場合顧客にとっては当たり前ですが、悪い体験になります。

皆様のセンターではモニタリングなどの際に、オペレーターの応対が、或いはスクリプトが前述した以下の5つの要素に沿っているかチェックされたことはありますか?

①RELEVANCE:私向けのものだと思える
②EASE:私にとって意味がある
③OPENNESS:オープンで、正直である
④EMPATHY:私の⽴場で考えてくれる
⑤EMOTIONAL REWARDS:いい気分にさせてくれる

コンタクトセンターはお客様の声を収集する役割もありますが、ブランドの価値を伝える役割もあります。とくに上述のコロナ禍を経て重要度が上がった「EMPATHY:私の立場でかんがえてくれる」はヒューマンチャネルの電話などでとくに表現すべき要素だと私は思います。

実践のためには組織のパーパス、方針を理解頂き共鳴すること、心と体が健康で仕事にやりがいを感じて頂くこと、適切な研修体制やツールがあり一定したサービスを提供できるサポートがあること、様々なマネジメントが必要になりますが、まずは上記の5つの観点でどのような要素が足りていないか見てみるのも良いかもしれません。


是非私の敬愛する丸亀製麺に皆様も足を運んでみてください。飲食ブランドだから参考にならない
でしょうではなく、どのようにRELEVANCEやEMPATHYを表現しているかなどは、どの業界であっても大事な要素です。

実際に足を運ぶことで、丸亀製麺だけでなく各ブランドのCXに関する社外的な取組みを体験することはできますが、それを優れたCXを実現するために「何をしているか?」までは残念ながら知ることはできません。

優れた顧客体験を提供しているブランドがどのようなマネジメントをしているか、弊社のWebサイトよりダウンロード可能なICXSやCOPCなどグローバルマネジメント規格を見てみるのも一つの手です。

優れた顧客体験を提供するために必要なマネジメント要素が記載された国際規格にご興味がある方は
以下のリンクより詳細をご覧ください。ダウンロードは無料です。


Related Articles

関連記事

カスタマーエクスペリエンスのその先へ
貴社の顧客体験の悩みにお答えします