毎月実施しているGBS第8回の内容をダイジェストでお伝えいたします。今回のテーマはコンタクトセンターのチャネル管理についてです。今回の内容は、初回の「顧客体験の理解と戦略」で一部ご紹介した内容をより深堀りしてお伝えしております。
弊社とCOPC社は昨年10月~12月の期間で、約1,000名のセンター関係者および、約4,500名の消費者に対してアンケート調査を実施し、その結果を12個のレポートにまとめました。
さらに、このレポートを活用して経営層やカスタマーサービス・CX部門のマネージャー向けに、重要なポイント・今学ぶべきテーマをウェビナーを通じてお伝えしております。このレポートとウェビナーを合わせたプログラムがGBSです。
毎月実施しているこのGBSですが、今回は先日開催いたしました第8回の内容をダイジェストでお届けします。
尚、次回は「研修・スキル開発」をテーマに12月22日13:00~14:00まで開催いたします。ご興味がある方は是非以下のリンクよりお申込みください。
当日のメインメッセージ(グローバルアンケート調査結果)
- 別のチャネルに移行する戦略を展開している組織の約77%は「ヒューマンアシステッドチャネル」から「SST」へ移行しようとしている。
※SST=セルフサービステクノロジー/セルフサービスチャネル - しかし約90%の顧客は「SST」よりも「ヒューマンアシステッドチャネル」の利用を希望している。これには主要チャネルの一次解決率の低さが起因の「マルチチャネルインタラクション」が背景にあると考えられる。
※マルチチャネルインタラクション=複数のチャネルを跨いで一つの課題を解決、あるいは一つの目標を達成するために組織と顧客が行うやりとり - 約63%の顧客がマルチチャネルインタラクションは「組織に強制された」ため行ったと回答している。そんな顧客がチャネルの選択において最も重要視するのは「便利/容易か」という要素である。
- 顧客体験に関して、最も一般的に測定・管理されている指標は顧客満足度(CSAT)であり、顧客からのフィードバック収集は41%の組織が、インタラクション直後に行っていた。
1. チャネル戦略
上の図は、組織へ「あるチャネルの業務量を別のチャネルに積極的に移行しようとしているか」を聞いた結果である。約53%の組織が移行しようとしていると回答した。また約41%はヒューマンアシステッドチャネルからSSTへ移行しようとしていることがわかった。
2.顧客はセルフサービスを求めているか?
約半数の組織が積極的にSSTへ業務量を移行しようと戦略を展開している。そのような中で、顧客はそれを求めているか聞いたのが以下の結果である。
上の図左側は顧客へ「必ず問題が解決されるとわかっている場合、どのチャネルを選ぶか」聞いた結果で、約90%がヒューマンアシステッドチャネル、つまりオペレーターと直接やりとりできるチャネルを選ぶことがわかった。逆にSSTを選択したのは約10%のみであった。
反対に、上の図右側は組織へ「何%の顧客がSSTではなく、ヒューマンアシステッドチャネルを好むか」聞いた結果で、実際の結果(約90%)に最も近い回答をしたのは全体の約14%のみであり、組織がSSTを過大評価している可能性が示唆される。
SSTは後述する顧客のニーズを適切に満たすことのできる優れたチャネルであるにも関わらず、その顧客から支持を受けていない。この背景には一次解決率の低さ、またそれに起因するマルチチャネルインタラクションがあると推測できる。
今回の調査の結果から、電話の一次解決率は「約46%」であり、SSTの一次解決率は「約40%」であることがわかった。顧客も自身の要件が解決できそうなチャネルを選択することを加味すると非常に低い一次解決率である。
では一次解決されなかった顧客はどこで解決されたのか。それを聞いたのが以下の結果である。
上の図は顧客へ「どのチャネルで組織とのやり取りが開始また終了したか」を聞いた結果で、こちらでも約90%以上の顧客がヒューマンアシステッドチャネルで開始、そして終了したと回答している。逆にSSTで終了できたのは約4%の顧客のみであった。
つまり、SSTはまだ顧客の課題を解決するための能力にかけていることが推測され、だからこそヒューマンアシステッドチャネルの臨機応変性を頼り顧客はよりこちらのチャネルを好んでいることが考えられる。
3.マルチチャネルインタラクションの理由
仮に、最初に試したチャネルで解決できなかったとしても、同じチャネルで再度解決を試みる顧客もいる。その中で、顧客はなぜ複数のチャネルに跨って組織とやりとりしたのか、それを聞いたのが以下の結果である。
上の図は顧客と組織へ「複数のチャネルに跨ってサービスを受けた理由はなにか」聞いた結果(組織の回答は、顧客がなぜそうしたのか推察した結果)であり、約63%の顧客が何らかの理由で組織に「強制」されたと回答した。各社のサービス設計がまだまだ顧客目線ではないことがわかる。
また、顧客自身はどのようなチャネルを望んでいるのか、それを聞いたのが以下の結果である。
上の図は顧客へ「チャネルを決めるうえで最大の要因は何か」聞いた結果。最も高いのは「便利/容易か」という要因であったが、「担当者と話せるか」「早い解決ができるか」も40%超と高かった。 「担当者と話せるか」以外はいずれもSSTが本領とする要因である。
4.管理指標と測定のタイミング
これらのチャネルがどのような指標に基づき管理されているのか聞いたのが以下の結果である。
上の図は組織へ「各チャネルに対してどの顧客体験指標を測定・報告しているか」聞いた結果であり、すべてのチャネルで測定されていたのは顧客満足度(CSAT)また、解決率及び一次解決率であった。この顧客満足度の測定のタイミングを聞いたのが以下の結果。
各社各様ではあるが、半数以上の組織で実施しているのがインタラクションごとの調査であり、約41%はインタラクション完了後すぐに調査していることがわかった。
まとめ
現段階では顧客のサービス体験にポジティブな影響を与えていないことの方が多いことがわかった。ただし、今後間違いなくセルフサービスは顧客の利用率も組織としての提供機能も増加していくだろう。顧客体験を高めるためのセルフサービスマネジメントが、今後は各組織に求められる。
カスタマーサービスは商品・サービスを体験する際、組織から付帯的なものとして提供されるのと、商品・サービスを体験する際に解決できない困りごとがあった際に顧客自ら組織へ助けを求めるものがある。前者であれば現代のセルフサービスでも十分に顧客の満足を得られるが、後者であればより顧客に寄り添った対応を可能とするヒューマンアシステッドチャネルのほうが適切である。顧客のサービス体験(ジャーニー)において、どのサービスに何を求められているのか、顧客および従業員のペインポイントはないかをジャーニー目線で分析することにより各チャネルの適切な管理が初めて可能となる。
今回ウェビナー内容の一部をご紹介いたしましたがレポート(英語版)については以下よりダウンロード頂けます。各統計データが何を意味するのか?つまり、どのようなアクションが求められるのか?などレポートの内容を紐解くウェビナーは随時お申込み受付中です。
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