コンタクトセンターにおける研修の最新動向について(2022年)

2022.12.26

毎月実施しているGBS第9回の内容をダイジェストでお伝えいたします。今回の内容は「コンタクトセンターの研修」についてです。過去「従業員体験」会にて実施した内容をより深堀りしてお伝えしております。

弊社とCOPC社は昨年10月~12月の期間で、約1,000名のセンター関係者および、約4,500名の消費者に対してアンケート調査を実施し、その結果を12個のレポートにまとめました。
さらに、このレポートを活用して経営層やカスタマーサービス・CX部門のマネージャー向けに、重要なポイント・今学ぶべきテーマをウェビナーを通じてお伝えしております。このレポートとウェビナーを合わせたプログラムがGBSです。

毎月実施しているこのGBSですが、今回は先日開催いたしました第8回の内容をダイジェストでお届けします。

尚、次回は「生産性・コスト管理」をテーマに2023年1月19日13:00~14:00より開催いたします。

ご興味がある方は是非以下のリンクよりお申込みください。

当日のメインメッセージ(グローバルアンケート調査結果)

  1. 基本情報
    組織の81%は初期研修において集合型座学方式を採用しており、70%は初期研修の期間が10日以上と回答した。研修においては「どのようにやるか?」「どれほどの期間やるか?」も重要であるが、さらに重要なのは次に紹介する研修クオリティのマネジメントである。
  2. 研修クオリティ(研修の品質)
    今回の調査からオペレーターのデビュー前に正式な試験を実施していると回答したのは92%であったが、44%の組織は研修クオリティを測定していないことがわかった。研修クオリティを測定することで、何が有効で、何が有効でないかをよりよく理解することができる。
  3. 研修満足度
    採用後12か月間経過したオペレーターを対象に初期研修の満足度を調査したところ満足と回答したのは73%であり、そう回答していないのは27%であった。離職をしていないオペレーターを対象にしているにも関わらず27%は満足していないのは大きな改善機会
  4. パフォーマンスマネジメント
    デビュー後のオペレーターにおいて管理している指標で最も多かったのはAHT(91%)、スケジュール遵守率(88%)、モニタリングスコア(74%)であった。なかにはオペレーターが自身でコントロールできない指標もあり、いくつかの組織では適切な管理ができていない可能性が示唆されている。

1. 研修クオリティ

上の左図は組織がオペレーターへ提供している初期研修の方法について調査を実施した結果であり、右図はその初期研修の合計時間(初期研修期間)を調査した結果である。

提供方法においては集合座学が81%と最も組織に採用されている方法であり、次が70%のOJTであった。OJTは組織の主要な研修として扱われるにはばらつきが起きる要因が多い不安定な提供方法であるため、あくまで他の研修の補完的役割を担うべきであると弊社では考えている。さらに、全体でみると83%の組織は2つ以上の方法を用いて研修を実施していることがわかった。如何に研修という先行投資は多種多様なアプローチが必要な難題であるかということが今回の調査からわかった。

初期研修期間については、組織の70%が10日以上と回答している。方法においても期間においても重要なのは次に紹介する品質、ひいてはその研修を通じて目標と定義されたものが達成されているかどうかの確認およびそれを基にした改善である。

2.研修クオリティ(研修の品質)

上の図はオペレーターがデビュー(独り立ち)する前に正式な審査を行っているか調査を実施した結果である。92%の組織が行っているということが分かった。デビュー前に組織の求めるスキルを正しく保有できているか?チェックすることは顧客応対において重要であり、多くの組織で実施されていることがわかった。

ただしこれは、最終的にどうか?という観点のものであり、スキル保有に至ったプロセスの有用性を管理するための指標ではない。このプロセスの有用性は今回の場合研修の有用性であり、それを測定するのが以下の研修クオリティ(研修の品質)である。

3.研修の満足度

左の図は採用後12か月間経過したオペレーターを対象に初期研修の満足度(研修が自身の仕事を成功に導くために十分なものと感じたか?)を調査したところ満足と回答したのは73%であり、そう回答していないのは27%であった。離職をしていないオペレーターを対象にしているにも関わらず27%は満足していないのは大きな改善機会である。

初期研修が従業員が働き続けるうえでどれほど重要か分析をしたのが以下の結果である。これは、上記の質問に対してオペレーターがそれぞれ選択した回答をグループごとに分けて、そのグループごとに「仕事の継続意欲」について調査した結果である。

その結果、組織が提供した研修が有用と感じているグループ、感じていないグループの仕事の継続意欲には2倍以上の差があり、初期研修が従業員にとって重要な役割を担っていることがわかった。

4.パフォーマンスマネジメント

オペレーターがデビューしたあと管理される数値には一般的にどのようなものがあるか調査した結果が以下の図である。

多くの組織で採用されていた指標はAHT(91%)、スケジュール遵守率(88%)、モニタリングスコア(74%)などであった。管理する指標はそれぞれの組織の方針やビジョン・ミッションと整合するべきであり、だからこそそれぞれの組織間で異なるべきであるが、オペレーターに対して管理する指標において重要なのは、オペレーター自身がコントロールできるものである こと。

例えばFCR(初回解決率)などは、顧客が初めて電話するかどうかはオペレーターにはコントロールできないため、このようなコントロールできない指標には注意が必要となる。自身でコントロールできない指標は当たり前だがオペレーターのモチベーションにネガティブな影響を与える。今回の場合であればFCRよりも解決率のほうが適切な指標であると考えることができる。

そのほかに注意すべきなのは顧客満足度など。オペレーター応対満足度であれば問題はないが、サービスプロセスや商品など、オペレーターの手に及ぼない範囲での満足度を調査しそれを個人ごとに管理している場合は注意が必要。

まとめ

採用でもそうだったように多くの組織で指標の管理が不十分である可能性が今回の調査の結果から見えました。

研修の目的は、研修を受けるオペレーターが実際の顧客応対の場面で組織が求める品質を出すためです。これは組織にとって先行投資となり無尽蔵に時間をかけてスキルを養えばよいわけではなく、効率性、つまりどれだけ早く、あるいは適切な期間のうちに求めているスキルレベルまで達しているか を管理していく必要もあります。だからこそ、研修の品質を管理する際は研修実施あとの試験合格率などではなく、例えば研修期間終了30日後に一定のパフォーマンスを出せたオペレーターの割合などにするべきです。さらに良くできている組織は、このチェックポイントを1つではなく複数、例えば30日でKPI○○、60日でKPI○○、90日でKPI○○などマイルストーンとゴールを設定して管理までしています。

組織の定義した成長曲線にオペレーターを載せることができているか?は顧客体験だけでなく従業員体験さらにはセンターのコスト効率にとっても重要であり、研修クオリティを測定・管理することから始めることができます。


今回ウェビナー内容の一部をご紹介いたしましたがレポート(英語版)については以下よりダウンロード頂けます。各統計データが何を意味するのか?つまり、どのようなアクションが求められるのか?などレポートの内容を紐解くウェビナーは随時お申込み受付中です。

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