顧客中心主義の視点からのチャネル戦略 その3(全4回)

2018.08.31

COPC CXコンサルタントのコラムから

「顧客中心主義の視点からのチャネル戦略」についてのCOPCコンサルタントのコラム紹介の3回目は、「現在提供しているチャネルでの顧客体験」についてお伝えします。

Part 1, Part 2では、お客様がどのチャネルを利用しているかの理解、お客様の期待を理解するための調査方法についてみてきました。今回は以下の4パートから成るシリーズの3回目で、「現在提供しているチャネルでのサービスをお客様はどう評価しているか」について見ていきます。

チャネル戦略を考えるうえでは4つの本質的な質問があります。このシリーズでは、その4つの質問についての検討を進めていきます:

Part 1: 自社の提供する顧客対応チャネルとお客様が利用しているチャネル

Part 2: お客様の求めるチャネルとそこで実現できることが期待される機能

Part 3: 現在提供しているチャネルでの顧客体験

Part 4: 顧客体験におけるギャップの特定と改善活動

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Part 3: 現在提供しているチャネルでの顧客体験

顧客サービスを提供すべきチャネルと、顧客の、チャネルに関する期待と選択を把握した後、次のステップとして、大事なことは、サービス提供をしているチャネルにおいて、どのような顧客サービスを提供しているか(お客様にどのように受け入れられているか)を評価することです。「改善活動のフォーカスすべき箇所を特定する」、「チャネル戦略を実行する」といった活動の前には、現状のサービスのどこにギャップがあるのかを見つける活動が必要です。顧客体験(CX)マトリックスの作成やカスタマージャーニーマッピングの活動は、現在の顧客接点のチャネルにおけるサービス提供の実態を評価するための2つの有効な手段となります。これらを実行する価値やそれにより明らかにできることについてはこれまでの回でも言及してきました。

CXマトリックス

CXマトリックスはこのシリーズの1回目にご紹介したチャネルマトリックスに似ています。チャネルマトリックスと同様に、CXマトリックスでも縦軸には、組織により現在提供されているサービスのチャネルが、コンタクトのタイプが横軸に置かれています。各セルを業務量で埋めるチャネルマトリックスとは異なり、CXマトリックスでは、そこにお客様満足度の結果(CSATのスコア)を入れます。このタスクを完了することで、顧客との様々な関係や場面ごとのチャネルパフォーマンスを理解することができます。

1は、COPCのカスタマージャーニーマッピング研修で使用するCXマトリックスの例です。この例では、9つのコンタクトチャネル(縦軸)と9つのコンタクトタイプ(横軸)を用いてマトリックスが作成されています。この例では、見やすくシンプルにするために、CSATの結果を3色のカラーコードで見せていますが、実際の満足度のパーセントを使うことで、より詳細な評価を伝えることができます。

 

図1:CXマトリクス 情報ソース:COPC社 カスタマージャーニーマッピング研修 コースマテリアル

CSATの結果をCXマトリックスに表示することで、改善可能な領域を簡単に特定することができるようになります。例えば、ウェブ/オンラインは、注文・購入以外のすべてのコンタクトタイプにおいてあまり良い評価を得ていません。CXマトリックスを作成することで、組織は顧客のペインポイントを特定するフレームワークを得ることができます。

カスタマージャーニーマッピング

カスタマージャーニーマッピング(CJM)は、顧客の視点で組織がどの程度よい体験を顧客に提供しているかを理解するためのツールの一つです。CJMプロジェクトの目的は、起点から終点までのお客様の体験ー ジャーニー、チャネル、コンタクトタイプ、顧客のペルソナをカバーして ー をマップ化することです。

CJMプロジェクトは、そのスコープは限定されず多様な形をとり得ます。CJMプロジェクトのアウトプットは、マップそのものとなります。図表、インフォグラフィック(情報、データ、知識を視覚的に表現したもの)の形をとり、特定の顧客ペルソナと組織との主要な接点や、動機、行動や経験や感情といった情報が盛り込まれることが多くあります。

顧客満足度調査やフォーカスグループから得られた知見や視点と、カスタマージャーニーマップを合わせてみると、ブランド(会社)についての詳細で強力な「物語」が見えてきます。この情報はとても重要で、このシリーズの最終回(4回目)のトピックである、「期待と現実のギャップを見つけ、それを埋めていく」活動、「特別な顧客体験の提供するための舞台」へとつながります。

COPCの開発したCJM研修は日本においても実施しています。COPCCJM研修の特徴は、マップ作成が最終の目標でないということを常に意識している研修であることです。マップを作成して終わりではなく、顧客体験上の課題を特定し、その改善活動を実施していく上での最初のステップとしてマップを作るという位置づけになっています。そのマップも、「顧客と会社との接点すべてを対象とした何ページにもわたる大きなマップを作りましょう」ではありません。(もちろんそういったマップを作成し、顧客のライフサイクルを意識して、顧客接点全体を俯瞰するという活動も必要なものであることは言うまでもありませんが)顧客にとって重要な接点、顧客の組織に対する意識を左右するようなアクションだったり、今現在、明らかに問題が発生しているアクションや接点にフォーカスし、改善箇所を特定していく活動の一環としてのマップ作成を意識しています。

研修では、ケーススタディを用いており、自らの組織に帰ってから実行できるようにという点も強く意識しています。Shop4Youという仮想の企業を例に、このシリーズででてきたチャネルマトリックスやCXマトリックス等を作成しながら、改善対象の顧客セグメント、顧客接点、チャネルを特定しながらマップの作成をしていく流れになっています。プロシードのお客様はコンタクトセンター部門の方が圧倒的に多いですが、顧客体験はコンタクトセンターのみが形成して入りものではありません。顧客接点を持つ他の部署と意識を合わせてよりよい顧客体験を提供していこうという意識を共有し、醸成していくためにも是非ご利用いただきたい研修になっています!

次回の最終回は「Part 4:顧客体験におけるギャップの特定と改善活動」となります。

今回の英語の記事はこちらになります。

プロシードのCJM研修のご紹介はこちらになります。

 

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