海外センター通信は、海外カスタマーサービス関連最新情報やトレンドをお届けする連載コラムです。
継続的なパフォーマンス向上を目指すうえで研修は欠かせない要素です。研修の品質を上げるうえでは、内容・教材を改善するのも重要ですが、研修の方法・コンテンツを付け足すことも有効です。
今回のコラムでは「どのような研修にも」フィットし、各研修テーマの理解が深まるだけでなくチーム力やチーム内の認め合いにもつながる「ジョハリの窓」を活用する海外の研修事例をご紹介します。
ジョハリの窓ワークショップ
今回ご紹介させて頂くのは「ジョハリの窓ワークショップ」です。
ジョハリの窓(Johari Window)は、心理学者のジョセフ・ルフト氏とハリントン・インガム氏によって1955年に考案された、自己分析に使用する心理学モデルの一つです。
今回のコラムでは、このモデルをコンタクトセンターの研修に活用する方法をお伝えいたします。
出典> https://www.callcentrehelper.com/the-johari-window-contact-centre-training-tool-122567.htm
Step1 アンケートの実施
最初のステップは研修のテーマを決めるためのアンケートです。研修対象者が担当する各商品、プロセス、スキルなどのリストを作成し、そのリストを「はい・いいえ」の二択式アンケートとして研修対象者に配布します。
オペレーターの場合は例えば以下のようなリスト(アンケート)になります。
- 温度感の高い顧客への対応に自信がありますか?
- 当社の○○製品群についての知識に自信がありますか?
- コールリーズン△△の応対に自信がありますか?
なお、アンケートは研修の当日でも、前日でも可能です。
Step2 グループワーク
研修対象者の回答が揃ったら次はグループワークです。
4~6名/組にグループ分けし、それぞれの質問に対する、それぞれの回答を以下の4つに分類していきます。
A. 解放の窓:自分も含めた全員が知っている(自身がある)
B. 盲点の窓:自分は知らないが他人が知っている(自信がある)
C. 秘密の窓:自分は知っているが他人は知らない(自信がない)
D. 未知の窓:自分も含めた全員が知らない(自信がない)
画用紙などに4つの分類を書き、その上にアンケートの設問の対象をポストイットなどに書き貼っても良いですし、表を作り各設問に対してそれぞれの回答を書き込んでも良いです。
各研修対象者がそれぞれ4つの分類にそれぞれの回答を整理したら、グループワークの次のステップです。
解放の窓
まず「解放の窓」に含まれる回答は、全員がその事柄に自信を持っているので“いったん”討論の必要はありません。(※後述します)
盲点・秘密の窓
次に「盲点の窓」・「秘密の窓」に含まれる回答は、知っている(自信がある)方がそうでない方にその内容を説明します。
Step3 課題の洗い出しと改善施策
ここまでのグループワークで理論上ワーク前よりも「解放の窓」に分類される商品やスキルが増えるだけでなく、その過程で様々なポジティブな従業員体験を積むことができます。
しかし、グループ内のすべての研修対象者が知らない(自信がない)「未知の窓」に分類された設問がチーム課題なのか、センター全体の課題なのかによって改善の方法は異なりますが、個別の対応・研修が必要となります。
例えば、単一チームの課題であればそのチームを担当するSV・リーダーの指導を含めた研修が必要となり、センター全体の課題であれば商品・サービスのマニュアルを作成などが必要になります。
◆研修の効果
- 「仕事」をテーマにしたグループディスカッションを通じてチーム力が向上
- アウトプット型の研修により、聞き手だけでなく話し手の学びと成長につながる。
- 自身の知識や能力が同僚の学びと成長につながることで働きがいにもつながる
- センター全体の課題を理解できる
◆さらに研修の効果を高めるための注意点
ジョハリの窓は組織の課題を明らかにし、チームの学びと成長・個々の能力の発揮・認め合いにつながる優れたフレームワークですが、自己評価する点からさらなる改善の余地はあります。
アンケートは各自が主観に基づき「知っているか・いないか」(自信があるか・ないか)を回答します。そのため、組織の標準的な基準からみると過大あるいは過小評価になっている可能性があります例えば応対スキル/モニタリングスコアなどの定量的パフォーマンス向上が目的の場合、アンケートを回収して各自の回答を分析し実態と大きな相違がないかなど分析することでさらに成果につながる研修が可能となります。
今回ご紹介したのは成果を上げるために既存の研修にプラスできるワークショップです。
どのような研修をするか?は重要ですが、さらに重要になるのが研修を含めたマネジメント体制のレベルアップです。
・カスタマーサービス組織としてどのようなマネジメント要素が必要なのか?
・各役職においてどのようなスキルが必要なのか?
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