「新視点!マネジメント考察~モチベーション・セルフコントロール~」 第二回目

2021.05.25

初回のテーマとして夢(ビジョン)を語ることの大切さをお伝えいたしました。その後、ビジョンについて考える機会を持たれた方はいらっしゃいますか。第二回のコラムでは夢(ビジョン)への理解を深めた後、いかにして実際の仕事に活かしていくか。「現実と向き合うための心構え」についてご説明いたします。

1.役割を理解し一人でできることの限界を「認める」事

マネジメントプレイヤーとして登用(または異動)を果たした方が避けて通れない「壁」の一つに「実力不足に落ちこむ」という事があります。コールセンター業務に置き換えてみましょう。オペレーターとしてお客様対応を行っていた時は、パフォーマンスも良好でお客様からも感謝の声をたくさん頂いていた。ところがSVに昇格した途端、その自信がすぐに消えてしまった。こんな経験をお持ちではないでしょうか。そんな悩みを抱えたSVからアドバイスを求められる時、私は以下のポイントを提示します。

  • オペレーターとSVは根本的に求められている役割が違うこと
  • SV業務は一人では解決できない事の方が多いこと

この2点を「認める」ことから始めてみましょうと伝えます。
オペレーターとして優秀なスタッフがSVに登用されるケースが一般的である故、“できない自分”を痛感し自信を無くしてしまうのだと想像します。また、あらゆる業務一人で解決しなければならないと考えてしまい、 できない事が増えることに思い悩みますよね。よって、上記の2つのポイントを早めに「認める」ことが大切です。自らの現在地を把握することは安定したモチベーションを保つことに繋がります。

それではどのように「認める」方向に自らを導けば良いでしょうか。有効なツールが職務定義書です。職務定義書には会社から 期待されている役割や、責任範囲が記載されています。私はこれに加えて記載されている事を遂行するために必要な具体的行動を自分で考えてみることをオススメします。例えば「スタッフの育成」。恐らく職務定義書には「スタッフのパフォーマンスや品質、マインドの課題を把握し成長に導くための指導育成を行う」といった趣旨の記載があるはずです。

これに対して

  • 日々のコミュニケーションを大切にする(雑談を1日1回以上、全スタッフと行う)
  • チーム目標をスタッフと共有し数値化したデータを常に見られる状態にする

等の細かい行動をイメージし、できる限り多く書き出します。そうすることで、何ができていて何がまだ足りないかが可視化 できます。また、一人でできないことは同僚や上司に協力を仰ぐことが当然のことであるとわかります。これが「認める」事の効果です。

2.スタッフの無限の可能性を信じ、限界を「認めない」事

「認める」ことを行う一方、もう一つぶつかる壁「スタッフの指導・育成」について述べます。初めてマネジメントプレイヤーに就いた方にとって「部下(スタッフ)を持つ」という事は大きな変化です。一人で行っていた仕事をチームで進めること。担当チームのパフォーマンス結果がスタッフのパフォーマンスに左右されること。ここにもまた新たな不安と悩みが生まれるはずです。再び話をコールセンターに置き換えましょう。担当しているオペレーターの品質が改善されず、重ねて本人に課題意識が低い。結果としてチームのパフォーマンスも上がらない。こんな時にSVへアドバイスをするのが次の2つポイントです。

  • 指導だけでなくお客様視点(サービス受ける立場)でアドバイスをする
  • できていない点だけでなく、できている点にフォーカスを当てる

この2点を伝える上で重要なことは、スタッフの限界を「認めない」事です。

根拠もなく「できる」と伝えるという事ではありません。正しい評価を行うことは大前提です。できていない部分を“伸びしろ”として捉え、成長に向けて伴走するイメージです。

ここで有効活用して頂きたいのが普段活用しているモニタリングシートやコーチングシート(個人別カルテ)です。これらのツールを“伸びしろを確認するためのツール”として捉え、どうすればできるようになるかを書き出す。できるようになった後のイメージを具体的に想像してもらう。SV自身がオペレーターの「限界を認めない」ことでSV、オペレーターの双方にとってポジティブなコミュニケーションが生まれるはずです。

いががでしたでしょうか。モチベーション・セルフコントロールのヒントとして是非活用してみて下さい。また、本コラムをお読み頂いているSVの方の上司にあたる方々にもお伝えしたいことがあります。皆様がSVに対して深く考え、丁寧に接する事を実行して頂くことは組織力向上にとってとても大切です。

Related Articles

関連記事

カスタマーエクスペリエンスのその先へ
貴社の顧客体験の悩みにお答えします