プロシード通信は、CXを上げるためにポイントとなる考え方やヒントをお届けする連載コラムです。
カスタマーサービスへの応用が進む生成型AIですが近年ある組織では、
・セルフサービス利用率:3倍
・セルフサービス完結率:50%
・顧客満足度:75% (満足・とても満足 の回答率)
・Eメール業務量: -50%
という高い成果も報告されています。
お客様にとっても、ビジネスにとっても良い結果を生み出すためにはどのような点に注意すべきなのかを本コラムでは紹介致します。
生成型AIをカスタマーサービスへ応用する際の注意点
- そもそも生成型AI、大規模言語モデル(LLM)とは
- AIの今と昔の比較 なにが変わったか?
- 応用の注意点
A.精度
B.コンプライアンス・セキュリティとブランディング
①そもそも生成型AI、大規模言語モデル(LLM)とは
chatGPTに代表される生成型AIは、データベースをもとに、聞かれたことに対してアウトプットができるAIです。アウトプットは例えば質問に対する回答などになります。話題のchat GPTも含まれますが、DALL-Eなど画像を生成するAIも含まれます。
生成型AIの中のカテゴリとして分類されるのが大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)でこれは、AIに人間と同じように、文字または音声のデータ(およびAI自身の文字または音声)を理解し対応できるよう大量のテキストデータをもとにトレーニングされたAIです。前述のchat GPTなどがこれに該当します。
数年前からカスタマーサービスでの応用は進んでいましたが近年この動きが加速しているのは、AIへ学習させるためのプロセスの精度が上がり、AIがカスタマーサービスに使える技術になったためです。
②AIの今と昔の比較 なにが変わったか?
昔のAIを活用したカスタマーサービスは、与えられた文章に対して「一つの根源的な課題」を洗い出し、それに対する事前に準備された回答を文字通り余すことなく「吐き出す」設計でした。
そのため、複雑な問題へは対応が難しく、問題に対して回答できたとしても何段落もの長い文章になってしまうような仕様でした。
それに比べて近年のAIは、以下の工程に沿って回答でさえパーソナライズされたものに変え提供することが可能になっています。
1.顧客の質問
2.後で回答できるように課題の要因分解と関連性の理解
※例:会員か、質問の内容・意図は など
3.それぞれに対する答えの検索
4.得られた質問に対するユニークな答えを作り出す
※文章を1~10まで返さず要約したりつなげたりする
5.回答に問題がないか確認
※精度の面でも、コンプライアンスの面でも
6.顧客が回答を得る
このようにして動くAIで、その裏には技術的な様々な革新、活用の工夫があります。とはいえ、テクノロジーに頼りきるだけではカスタマーサービスへの応用は以下のようなリスクが残るため、図中に枠線で囲った箇所のプロセスをマネジメントすることが応用の際の重要なポイントになります。
③応用の注意点
A.精度
上の工程でいう3ではナレッジマネジメントの精度が高くなければ課題と回答の紐づけは難しくなります。AIが容量を得られないナレッジベースであれば「”オペレーター”と入力してください。すぐにオペレーターへお繋げいたします。」を連呼するチャットボットになりかねません。
B.コンプライアンス・セキュリティとブランディング
上の工程でいう5ではモニタリングの精度が高くなければ、それに紐づく「当社にとっての理想的な回答」は難しくなります。ここではコンプライアンス面でのガードレールを敷くことはもちろん重要になりますが、ブランドにとって必要な共感や言い換えができているかも管理していくことが求められます。
AIの導入によって生産性含めた様々な効果を得ることが可能になります。
しかし上記を含む多角的な視点での設計・マネジメントが求められます。検討すべきポイントにもれや、だぶりがないかを確認するためにぜひCOPC CX規格をご活用ください。
関連リンク
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