プロシード通信は、CXを上げるためにポイントとなる考え方やヒントをお届けする連載コラムです。
コンタクトセンターでは、パフォーマンス向上のためにさまざまな分析手法を利用し、改善活動を行います。今回は、パフォーマンスの分析方法の1つである、BQM※について説明します。
※BQM:Bottom Quartile Management=四分位点管理
概要
コンタクトセンターでは、オペレーターのパフォーマンス状況を確認する場合にAHTを利用します。
各オペレーターのAHTを比較し、パフォーマンスの低いオペレーターを調査し、パフォーマンスの低いオペレーターのAHTを改善することで、センターパフォーマンスを向上することができます。
パフォーマンス管理では、最初に、各オペレーターのパフォーマンスのばらつき範囲がどの程度あるのかを把握することが重要となります。
パフォーマンスを向上させるためには、最初に、ばらつきの状況を把握し、ばらつき範囲が大きい場合には、ばらつき範囲が小さくなるように改善する必要があります。
ばらつき範囲を小さくした後には、その状態で全体のパフォーマンスを向上させていく手順を取ります。
2.BQMとは、四分位管理
BQMは、パフォーマンスの低いチームやオペレーターを分析するときに利用します。(BQMは、日本語では四分位管理といいます。)
四分位管理とは、全体を25%ずつに4つのグループに分割し、下位層のグループの改善を行うことで、ばらつきの縮小やパフォーマンスの向上を行います。
コンタクトセンターはチーム制で業務をおこなうため、同じ業務を複数のチームで担当している時には、チームの運用にばらつきがないか管理する必要があります。
各チームの状況を把握するために、四分位分析を使い、チームのパフォーマンスを比較し、問題はないか確認ができます。
3.四分位分析の基本を理解する
下記データで四分位数についての基本を説明します。四分位分析をする場合には、全体のデータを4つのグループに分割します。
4つのグループに分割する場合、全体の合計数が奇数の場合には、中央の数値を利用します。
偶数の場合には、中央の数値が2つとなるため、それぞれの数値の平均値を取ります。
いずれの場合でも、これらの中央値を第2四分位といいます。
次に、中央値の左右のグループについても更に中央で分割をします。
左右のグループも奇数個ならば中央値、偶数個ならば中央値の2つの数値の平均値を利用します。
例えば1チームが10人のオペレーターで構成されている場合、10人のAHTデータを4グループに分けます。
データは10人分ですので最初に中間の5番目、6番目の人のデータを確認します。
5番目はEさんの310秒、6番目はFさんの320秒となります。EさんとFさんの数値を合計し2分の1にします。
(310+320)÷2=315
この数値を第2四分位といいます。
次に、1番目から5番目のグループの真ん中に当たるCさん
6番目から10番目のグループの真ん中に当たるHさん
上記図に用に、それぞれの数値を確認します。それぞれの数値でCさんの数値を第1四分位、Hさんの数値を第3四分位と言います。上記の説明を整理すると、下図のようになります。
4.箱ひげ図の作成
上記説明を踏まえて、データをグラフ化します。収集したデータをグラフ化するのはExcelを利用します。Excelのグラフから箱ひげ図を選択します。
上記データからデータ部分を選択し、グラフの追加で箱ひげ図を選択します。下記グラフが作成されます。
この図では、第2四分位以下のグループのばらつき幅が多いことが見て取れます。
このチームでは、AHTのばらつきが大きいため、下位グループの人たちのAHTについて改善する必要なのが見て取れます。
5.チーム別の状況を比較分析する
箱ひげ図は、チーム単位での状況を比較分析する時に便利なツールです。例えば、下記のデータを基に箱ひげ図を作成します。
各チームのデータを箱ひげ図にすると、Aチームのパフォーマンスは、ばらつきの幅が大きく、他のチームに比べてAHTも長い状況がわかります。
この状況からすると、Aチームの業務のやり方、人材の育成方法などに問題はないか確認する必要があることが分かります。
5.センターパフォーマンスの問題点を正しく分析し、改善する
センターパフォーマンスを改善するためには、AHTの長いオペレーターの改善に着手する必要があります。
その場合によく見られるのは、オペレーター全員のAHTを比較分析し、AHTの長いオペレーターの改善に取り組むことを行っています。
オペレーターのAHTが長くなってしまっている原因は、個人のスキルの原因と考えてしまいがちですが、チーム単位で比較し、各チームの業務のやり方や、人材の育成方法について違いがないか、また、良いチームの取り組みを社内のベストプラクティスとして展開できないかなど、チームとして問題はないか確認する必要もあります。
その後、第3四分位以下のオペレーター各個人のパフォーマンスを確認し、改善点はどこか分析をします。BQMは、チームのマネジメント体制を確認することができますので、ぜひ活用して見てください。
関連リンク:COPC®リーンシックスシグマ イエローベルトコース オンライン版
箱ひげ図なども用いたばらつきの管理などセンターに特化した数値分析手法がオンラインで学べる人気の研修