本コラムでは、コンタクトセンター運営における国際標準規格であるCOPC(Customer Operations Performance Center)について、その概要から時代と共に進化してきたCOPC CX規格(以下COPC規格)の最新動向までを解説いたします。
COPC規格を活用することで得られる顧客体験向上、コスト削減、オペレーター品質向上といったメリットを具体的にご紹介するとともに、自社への応用方法を学ぶための研修についてもご紹介いたします。
COPCとは
COPC(Customer Operations Performance Center)とは、1996年に米国で策定された、コンタクトセンターやBPO業務のパフォーマンス改善を目的とした運営マネジメント規格です。顧客満足度の向上と運営効率の改善を両立させることを目指しており、世界70カ国以上で活用される業界の国際標準です。
COPC規格には、
- コンタクトセンター運営組織(CSP)向けの「コンタクトセンター版」、
- より広義的なカスタマーサービス組織へ適応可能な「カスタマーオペレーション版」、
- そしてコンタクトセンターを外部委託する企業向けの「VMO版」など、
組織の形態や目的に合わせた複数の種類があります。
当社は、日本における唯一のCOPC総代理店として、COPC規格の普及と、日本企業のコンタクトセンター運営の高度化を支援させていただいております。
時代とともに進化するCOPC規格
COPC規格当初はコンタクトセンター向けの規格として誕生しましたが、その適用範囲は拡大し、現在では顧客がサービスを利用するあらゆるチャネルを包含する顧客体験(CX)全体を管理する規格へと進化しております 。
COPC規格は、策定以来、時代の変化やテクノロジーの進化に対応するため、継続的に改訂されております。近年では、顧客体験(CX)の重要性の高まりを受け、COPC “CX“ 規格として、顧客のサービスジャーニー全体を最適化するための視点が強化されております。特に、2022年1月にリリースされたCOPC CX規格コンタクトセンター版リリース7.0では、従来の「何をすべきか」という規定(Standard)から、「どのように考え、実行を促すか」という方針(Criteria)への変化が見られ、各センターが自律的に運営を高度化していくことが重視されるようになっております。
近日中に日本でもリリースされる最新バージョンのリリース7.1(2025年)では、テクノロジーを活用したCX向上・マネジメント水準向上を目的に各種指標の追加を含む改訂がされており、より現代におけるCX向上に効果的な内容にアップデートされる予定です。
COPC 規格の活用イメージ・メリット
COPC 規格を導入し活用いただくことで、コンタクトセンター運営において多岐にわたるメリットが期待できます。以下に、主な活用イメージとメリットを5つのグループに分けてご説明いたします。
顧客体験と顧客満足度の向上
COPC 規格は、顧客視点でのサービス提供を重視し、顧客の期待を超える体験をデザインするためのフレームワークを提供いたします。チャネル単体の品質向上もさることながらサービスジャーニー全体を通して、顧客のニーズを深く理解し、各タッチポイントにおける品質管理(モニタリング、コーチングなど)にフォーカスを当てております。そのためより顧客体験の実態に即した改善が可能となり、顧客満足度また顧客体験の向上に繋がります。
オペレーター品質の向上
COPC 規格は、オペレーターの採用、研修、育成、評価に関する明確な基準を提示し、応対品質の向上を支援いたします。スキル定義に基づいた研修プログラムや、モニタリングとコーチングによる継続的なスキルアップ、公平な評価制度の導入などを通して、プロフェッショナルなオペレーターの育成を実現いたします。
コスト削減と効率性の向上
COPC 規格は、業務プロセスの最適化と効率的なリソース配分を追求することで、コスト削減を実現いたします。KPI管理を徹底し、目標達成に向けた具体的なアクションを実行することで、生産性の向上、人的リソースの最適化、テクノロジーの有効活用などが可能になります。
なお、上記のCXおよびEX向上は時間を含むリソースを無限にかけることができれば向上自体は難しくないでしょう。COPC規格は本当に意味のある、効果のあるものに重点をおいたフレームワークであるため、とくにコストに制限があるコンタクトセンターにおいて如何にリソースを有効活用していくか?改善が本当に必要な領域はどこか?を特定するためのフレームワークでもあります。
世界水準の証明と信頼性向上
COPC 規格の認証取得は、認証を取得したコンタクトセンターの運営が国際的な水準を満たしていることの証明となります。第三者機関からの評価は、顧客や取引先からの信頼性向上に繋がり、企業価値の向上にも貢献いたします。
また、認証維持のための年次更新は、継続的な品質改善への取り組みを示すものとなります。
方針実現に向けた運営基盤の強化
COPC 規格は、事業計画、目標設定、品質管理、要員計画、コンプライアンス管理など、コンタクトセンター運営に必要な基盤を包括的にカバーしております。
規格に沿って運営体制を構築・改善することで、組織全体のパフォーマンス向上、課題の明確化、継続的な改善サイクルの確立が可能になり、企業の方針実現に向けた強固な運営体制を構築できます。拠点統合や、組織の合併の際、運用ルールを揃えるためのベースをとして活用されるケースも一般的です。
COPC 規格研修のご案内
当社では、COPC 規格を自社へ応用するための方法を体系的に学べる各種研修プログラムをご用意しております。
- コンタクトセンターの運営管理者層を対象とした「COPC® CX規格ベストプラクティス研修」をはじめ、
- 発注者向けの研修「COPC®CX規格ベストプラクティス研修 VMO+」、
- COPC規格のエッセンスを用いて各社向けにカスタマイズした研修など
各種コンタクトセンターのニーズに合わせた研修をご提供しております。
これらの研修では、COPC規格の基本概念から、具体的な活用方法を講義とワークショップを通じてご紹介いたします。
貴社のコンタクトセンター運営の高度化、ひいては顧客満足度の向上に向けて、ぜひ弊社のCOPC 規格研修をご活用ください。