“きく”スキルの開発のヒント

2018.06.26

<重大なミスの精度の向上をもとめて>

COPC CX規格では、モニタリングにおける品質管理において、応対の精度と解決を重視し、重大なミスの精度という指標を掲げています。

応対のプロセスにおいて、顧客に関する重大なミス(誤った対応や著しくマナーを逸脱した対応をしてしまうこと)、ビジネスにおける重大なミス(会社やクライアントのビジネスへの不利益や非効率などを発生させること)、コンプライアンスに関する重大なミス(個人情報保護やコンプライアンス上誤った対応をすること)がないようにすることが、センターパフォーマンス向上に不可欠と考えられるためです。

こうした様々なタイプの重大なミスを防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。

私のクライアント企業でも、最も重要度の高い課題であることが多いです。

 きくということの意味>

「お客様の話はよく“きき”なさい」

言われた覚えのある方も、いつもオペレーターに伝えているという方もいらっしゃるかと思います。

この「きく」ですが、音声に関わりのあるものだけでも、「聞く」「聴く」「訊く」の3種類あり、オペレーターの初期導入研修メニューに入っているケースが多いようです。

念のため辞書で確認してみました。以下のような解釈が書かれています。

① 聞く:音・声を耳で感じとる。

            自然に耳に入る音などを指す。

② 聴く:注意して耳に入れる。

            積極的に耳を傾けて、理解しようとする。

③ 訊く:たずねて、答えを求める。

            質問する。

非対面の顧客対応では、「②聴く」と「③訊く」の2種類を効果的に使いこなす必要があります。
なぜならば、お互いの表情が見えない環境でのコミュニケーションだからです。積極的に耳を傾け(=傾聴し)、質問しなければ得られない情報も多くあります。

 < “きく”スキルと重大なミスの精度>

精度や解決率の向上という視点から、「②聴く」と「③訊く」を考えてみましょう。

今まで、私たちは「②聴く」というスキルを、応対上のテクニックに重点をおいてきたように感じます。テクニックだけでは、「理解しようとしている」様子は示せても、精度や解決率の向上は望めません。お客様の感情と事実を冷静に見極め、顧客対応方針や手順に沿って、何をすべきか、次の一手を冷静に考えることが大切です。

 そのために「③訊く」があります。

これは、苦情対応や複雑な対応に限らず、効果的な質問は、対応に深みを与え、お客様の本当の感情・意図・解決したい課題を知る大きな助けとなります。

あなたが「ABの商品で悩んでいる」と問合せた際、どちらのオペレーターの対応を(良い対応だ)と感じるでしょうか。

OP-A「かしこまりました。では、Aの商品からご説明します。」

OP-B「かしこまりました。ABの商品でお悩みなのですね(復唱)。具体的にどういった点でお悩みですか(質問)?」

オペレーターがお客様の要望にフォーカスし、質問から会話を展開することで、会話のわかりやすさ、親身さ、スムーズさは確実に向上します。

 <プロセス改善からのアプローチ>

センターレベル、プログラムレベルで、重大なミスの精度を向上していくためには、こうした「②聴く」と「③訊く」を意識するレベルから、実際の応対プロセスにスクリプトレベルやモニタリングフィードバックレベルに組み込むことを意識してみましょう。オペレーターが意識し、理解して、業務プロセス上も必要なステップとして行動していけるようにサポートしていくことが大切です。

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