前回はチャットボットの活用方法として「有人対応へのスムーズな連携」と「問い合わせ理由の分析に基づく研修やFAQの改善」を紹介いたしました。ご覧いただけましたでしょうか。
いよいよ最終回になりました。
今回は、有人チャットのマネジメント全般について事例を交えて説明いたします。
事例1:待機時間も返答時間も長く、問題解決できなかったケース
(悪い顧客体験)
アメリカへ荷物を送る際、海外の配達サービスの会社に料金の問い合わせを行った際の事例です。コールセンターへ電話したところ大変混雑していたため、有人チャットへ誘導されました。
チャットフォームに入ると、有人チャットは混雑していて、私の前に5,6人が待っていると表示されました。15分以上待って、ようやく自分の番が来ました。
しかし残念なことに一回のやり取りで担当者からの返信がなくなり、私は大変不安になりました。色々とスマートフォンの画面操作していたところ、誤って退出してしまい、また最初から待つことになりました。やり直すことは時間の無駄だと思い、私は仕方なく他社へ依頼することにしました。
事例2:スムーズな有人チャットへの連携及び満足できた応対
(良い顧客体験)
ワインを購入しようと思ったタイミングで、知り合いからワイン専門の通販サイトをオススメされました。その際にサイト内の有人チャットに問い合わせした事例です。
チャットバナーを押すと、最初にボットのアイコンがついたウィンドウが表示されたので、ここはボット対応になると直ぐに分かりました。そこで、用途や質問のカテゴリーを選択します。その後、アイコンが人の表示に変わり、オペレーター対応となります。私はあまりワインに詳しくないので、「飲みやすく甘口の白ワインがないか」と質問したところ、すぐに。商品のURLが送られてきて、それぞれの違いについて詳しく説明を受けました。説明内容も「ほんのり甘さを感じて頂けるワインでしたら、最後のワインがおすすめです!」とイメージが沸くようなとてもわかりやすい表現だったので、躊躇なく購入しました。時間としても15分以内で終わったため、大満足の応対でした。
この二つの事例のように、オペレーターの対応や、顧客サービスの設計によってお客様の満足度は大きく変わります。また、ビジネス貢献にも影響を与えます。それでは、具体的にどのようにしてマネジメントを行えば、満足度はあがるでしょうか。ポイントをご説明いたします。
- ポイント1:入り口の設計
有人チャットであっても最初のやり取りはボットのケースがあります。
これはお客様の用件をあらかじめ特定することによりその先の回答をスムーズにするためです。しかし、お客様がヒトによる対応を期待している場合、対応するのがボットなのかヒトなのかを明確にする事が必要です。なぜならボットでの回答の特徴にみられる定型文の印象を持たれ、結果的に離脱に繋がってしまう可能性があるからです。
上記の好事例においては、アイコンを活用し、お客様に分かりやすくボットとヒトを区別していました。このことが安心感に繋がります。お客様視点でチャットの入り口(IVRを含め)を設計しましょう。 - ポイント2:回答の分かりやすさ
お客様にとって、商品・サービスについて問い合わせした際に、分かりやすく説明を受けるかによって顧客体験は大きく異なります。オペレーターの文章力が問われるため、普段からトレーニンーグを行う必要があります。勿論お客様をお待たせしないために、テンプレートの活用も有効ですが、ここで注意すべき点があります。如何に会話感のある言葉が使えるかがポイントです。そして、場面に応じたテンプレートの利用可否を最適にマネジメントしておくことも行いましょう。 - ポイント3: お客様の心情に対する寄り添い
チャットでのやり取りでもお客様に対する寄り添う姿勢が大切です。コールと違い、チャットではトーンや表情が伝わらないため、いくら敬語であっても冷たい印象を与える場合があります。「寄り添い感」を実現するためには、お客様の温度感やペルソナに合わせて記号や絵文字を適度に使うことも有効です。そのため、予めお客様との距離感を感じ取り、どこまでお客様に合わせて良いかという応対ポリシーを決めておきましょう。このポリシーは企業の印象にも繋がるのでとても重要です。 - ポイント4:指標(KPI)
有人チャットが適切に運営できているかを把握するためには、指標の測定が欠かせません。予め定めた目標や計画に対して定期的にパフォーマンスレビューをすることで課題の洗い出と改善を図ることができます。上記の悪い事例では、一人のオペレーターが同時にいくつかのチャットを対応していたため、返答時間が長くなっているのではないかとの原因が想定されます。このように原因を特定するためにもパフォーマンスの管理が必要です。
*一般的な有人チャットの指標
4つのポイントを踏まえて、皆さんのセンターで有人チャットのあるべき姿を定義し、それに沿ったチャット応対が実現できると良いですね。 3回にわたってチャットの基礎についてご紹介しました。少し工夫を入れるだけで、もっと便利なチャネルに変わりますので、ぜひ改善してみましょう!
また、弊社ではチャットチャネル関連のセミナーや研修も随時開催しております。ご興味がある方はぜひこちらのボタンから詳しい情報をご確認ください!