アンケート調査からみるセンターで新人オペレーターの離職を防ぐポイント ~CX通信 vol.3~

2023.05.23

CX通信は、国内の顧客体験関連ニュースから
カスタマーセンターでも活かせるポイントをお届けする連載コラムです。

採用シーズンであり、5月病もあるこの時期、Webで検索してみると新入社員の早期離職を防ぐための様々な工夫や事例を見つけることができます。またZ世代の趣向にフォーカスを当てた分析結果含めた関連するニュースや記事も少なくありません。
そういった背景から今回はWell-being CUSTOMER CENTER AWARD2022※(以下:アワード)にて収集した約700名の入社半年未満の新人オペレーターのアンケート結果を、幸福度が高いグループと低いグループに分け、ポイントとなる要素について分析した結果をご紹介します。
ぜひ皆様のセンターのマネジメント、新人オペレーターの早期離職改善にご活用いただければ幸いです。

※弊社オリジナルの従業員アンケート調査:Well-being診断をエントリーした組織が実施し、そのスコアをランキング化、上位組織を表彰するアワード

分析対象の雇用形態ごとの割合

参考リンク:93センター、6,249名の調査結果をまとめた白書>

センターで入社半年の離職を防ぐポイント

  • ポイント1:入社半年のオペレーターの幸福度は相対的に高い
  • ポイント2:方針と業務内容への理解・共感があるうえで成長を実感できるかがカギ
  • ポイント3:忘れてはいけない観点はWell-beingと認め合い

ポイント1:入社半年のオペレーターの幸福度は相対的に高い 

入社半年のオペレーターの幸福度、働きがい、仕事の継続意欲は在職期間がそれ以上のオペレーターよりも高い結果がアワードの調査から見えました。(在職期間が伸びるにつれて下がる傾向)

◆オペレーターの在職期間別回答結果(左から幸福度、働きがい、継続意欲)

オペレーターの幸福度、働きがい、継続意欲のスコア推移(在職期間)

※幸福度=「あなたの人生の幸福度に今の職場や仕事で過ごす時間は良い影響を与えていますか?10が最も良い影響を与えている状態とした場合、0~10でお答えください。」の回答結果平均値
※働きがい=「自分は日々働きがいを感じている」に対して回答選択肢(1:全くそう思わない~7:とてもそう思う)のうち6以上を回答した方の割合
※継続意欲=「自分は特別な事情がなければ、この仕事を続けたい」に対して回答選択肢(1:全くそう思わない~7:とてもそう思う)のうち6以上を回答した方の割合

残念ながら現状のオペレーターは長く働くほど上述の3つの結果が下がっていくことがわかりました。ただし本コラムの焦点である入社半年未満のオペレーターは相対的に最も高い結果となりました。この結果は昨年COPC社と実施したグローバルの調査結果とも整合しております。入社したてであり、仕事の新鮮さや目新しさが良い影響を与えていると考えることができます。

ただし、この相対的に幸福度が高いグループの中でもばらつきがあることがわかりました。右の図は入社半年未満のオペレーターの幸福度ごとの比率です。

幸福度が5以下と回答したオペレーターが44%、6以上と回答したオペレーターが56%という結果であり、釣り鐘型ではなく、高い所が複数ある、いびつな形になっています。

幸福度が高いグループと低いグループでどのような体験に差があるのか分析をするため、次に入社半年未満のオペレーターを幸福度が6以上のグループと5以下のグループにわけて各設問の回答結果を見ていきます。

ポイント2:方針と業務内容への理解・共感があるうえで成長を実感できるかがカギ

次に見ていくのは、アワードにおける設問の回答選択肢である1~7のうち、

A.6以上の回答をした方の割合(TOP2BOX)
B.2以下の回答をした方の割合(BOTTOM2BOX)

です。

まずはAのTOP2BOXを見ていきます。以下が幸福度6以上のグループと5以下のグループの回答結果を比較した結果、両者の差異が42問中最も大きく、働きがいと継続意欲とも相関していた設問です。

◆TOP2BOXを比較した結果、差異が大きく働きがいや継続意欲とも相関していた設問TOP7

TOP2BOX比較

上記の結果を見てみると、会社との信頼関係、能力の発揮、学びと成長という設問グループの設問が多いことがわかります。このことから、既存のマネジメント体制に対して例えば以下のような項目に注意していくのが効果的だと考えられます。

  • 会社との信頼関係→新人オペレーターが方針に共感できるよう、組織の文化や方針を伝える、また口頭で伝えるだけでなく、「伝わるように」、研修コンテンツやコミュニケーションの方法含めた行動で表現する
  • 能力の発揮→新人オペレーター自身の強みや長所の理解を促進する、またそれが仕事で活かせるイメージを持たせる
  • 学びと成長→初期研修やOJTの中で成長が実感できるように振り返りの時間やフィードバックの時間を確保する

すでに多くの組織で取り組まれている要素のように感じますが、現状これらのTOP2BOXが低い(つまりこれらの体験が悪い)新人オペレーターが多いことから、実施している施策が求められている品質に満たしていない可能性があります。

いずれの要素も例えばトレーナーなど、どこか一つのポジションに一任するような内容ではなく、組織全体で温かく新人オペレーターを迎える際に全員が注意すべき要素です。例えばこれまで実施していなかったタウンホールミーティングをやってみよう!など新たに企画することも効果的ではありますが、すでに実施している初期研修やOJTの「やり方」を工夫することでも十分効果的です。

ポイント3:忘れてはいけない観点はWell-beingとコミュニケーション

前述の内容はTOP2BOXつまりポジティブな回答結果の比較でした。最後に見るのはBOTTOM2BOXつまりネガティブな回答結果です。
BOTTOM2BOXが高いということは設問の体験に対して非常に強い反感を持っていることを意味しています。組織としてTOP2BOXを押し上げていく施策も重要ですが、強い反感があるのであれば、まずはこれから解決していくことが求められます。

◆BOTTOM2BOXを比較した結果差異が最も高かったTOP5の設問

BOTTOM2BOX比較

相関が高くない設問もありましたが差異が大きかったのはワークライフサイクルと認め合いに関する設問でした。このことから、既存のマネジメント体制に対して例えば以下のような項目に注意していくのが効果的だと考えられます。

  • 認め合い→その方の承認だけでなく、これからの成長の可能性も伝えながら自社におけるオペレーターという仕事の重要性なども理解させる。
  • 認め合い→「お客様のお困りごとを受けて処理する仕事」以上のカスタマーサービスに対する理解が促進するよう、組織のサービスプロセス全体の中でカスタマーサービスがどのような役割をはたしているのかなどを理解・実感できるように説明する。
  • ワークライフサイクル→お客様にご満足いただけるサービス品質、組織の求める生産性に達するためにがむしゃらに頑張るのではなく、カスタマーサービスのプロフェッショナルとして心と体をセルフマネジメントすることの重要性を説き、やり方含めた正しい知識を伝える。

新人オペレーターに焦点を当てた分析で意外だったのがWell-being(ワークライフサイクル)のBOTTOM2BOXの差(≒重要性)です。Well-beingは、組織のマネジメントでも注目されているキーワードですが、女性誌などでもこれを題材にした記事が増えているなど世間一般的にも認知度が上がっているものです。働くこと自体の意義や認識が時代とともに変わるように、これからの時代、従業員育成における初期の段階でWell-beingに取り組んでいくことがますます重要になっていくのではないかと考えます。
※プロシードが考えるWell-beingはこちらから


Well-being実現に向けた取り組みは「健康的に食べて、良く寝よう!」という簡単なものではありません。身体的、精神的、社会的に満たされた状態がWell-beingであり、心と体の状態も重要ですが、社会:例えば職場でのコミュニケーションの質ややりがいを感じられる体験なども重要です。そのためには従業員が安心して働ける環境を会社から主体的に整備することも、従業員の主体性を促し会社や従業員またお客様への貢献を実感することも求められます。

ではどこかから手を付ければ良いのか?

ただいま好評受付中のWell-being CUSTOMER CENTER AWARD2023にエントリー頂くと国内の他カスタマーセンターと自センターのWell-being関連指標を比較することが可能です。ぜひ他のセンターと定量比較できるこの機会を、Well-beingなセンター実現に活用頂ければ幸いです。

Well-being CUSTOMER CENTER AWARD2023開催概要の詳細は以下の資料よりご覧いただけます>


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