なぜ?Well-beingが求められている背景

2023.01.18

会社のあり方やそこで働く従業員個人の仕事と私生活の関係の再構築が求められている現代において、これから重要視すべき考え方として「Well-being(ウェルビーイング)」が注目されています。
今回のブログではWell-beingの意味、またそれがとくにコンタクトセンターで求められる理由について、Well-beingがなぜ必要かを紹介します。取り組みを始める上で是非参考にして頂ければ幸いです。

Well-beingとは?

Well-beingはWHOの定義によると「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的、精神的、社会的、すべてが満たされた状態にあること。(日本WHO協会訳)」となっております。元々は医療や福祉の世界で重要視されてきた考え方でしたが、持続可能な開発目標(SDGs)にも明記され、またビジネスへの応用による効果が様々な機関・組織で認められていることから各社で取り組みが促進しているものです。

ある研究によると主観的幸福度の高い人はそうでない人に比べて創造性は3倍、生産性は31%、売り上げは37%高いということも分かっています。

Well-beingに関する取り組み、また定義は各社間で違いはありますが、共通しているのは「従業員の心身及び社会(人間関係)的な幸福度を上げていくこと」にあります。

Well-beingと従業員満足度に違いはあるのか?

Well-beingと似たような考え方として従業員満足度というものがあります。従業員満足度とWell-beingの違いを弊社では、

Well-being ウェルビーイング 従業員満足度 違い コンタクトセンター コールセンター
  • 従業員満足度
    働きやすさ=会社から従業員に与えた体験にフォーカス
    例:「会社が従業員へ与えた研修に、従業員は満足しているか?」
  • Well-being
    働きがい=会社から従業員、従業員から会社体験の双方および、職場での体験と私生活での体験のいずれにもフォーカス
    例:「会社が従業員へ与えた研修に、従業員は満足しているか?」および「従業員は学んだ内容を仕事に十分生かせているか?または、自身が学んだことを同僚へ共有できているか?」など

と捉えており、Well-beingは従業員満足度を内包したものであると考えております。

コンタクトセンターこそWell-beingに取り組むべき理由

弊社では、Well-beingに取り組むべき理由を以下のように捉えています。

  1. 人(オペレーター)を頼る顧客が増加している
  2. それらの顧客へは一般論ではなく、その顧客の状況にあった寄り添いのある応対が必要
  3. 顧客体験を上げるためにはこの寄り添いのある応対はもちろん、そもそも顧客の不満の原因となったジャーニーにおける原因を発見し、改善するスキルが必要
  4. このスキルを養い、発揮するためには心と体も健康的に満たされ、かつ仕事に働きがいを見出し熱意をもって取り組む従業員の状態(Well-being)が不可欠

それぞれについて以下にて解説していきます。

背景1:カスタマーサービスの「難易度」上昇したことにより「人」を頼る顧客が増加している。

顧客応対において、これまでオペレーター(コンタクトセンター)に求められていたのは「ルール通りに決められたこと」を実施することでした。

しかし、デジタルチャネル/サービスの増加から、「ルール通りに決められたこと」を案内するだけでよいお問い合わせはこれらによって解決されるようになっています。デジタルチャネル/サービスが発達する前まではお客様は初回の電話でオペレーターと相互に状況を理解しながら解決に至ることも可能でした。しかし現代のデジタルチャネル/サービスはAIによってある程度の対話ができるチャットボットはありますが、基本的には一般論を企業から顧客へ一方通行で提供するレベルです。

そのため、解決できなかった顧客は、解決を求めてオペレーターとやりとりできるチャネル(例:電話)に進むようになっています。つまり「人らしい温かい、寄り添いやその工夫のあるサービス」が求められているのです。

人らしい温かい、寄り添いやその工夫のあるサービスがいかに求められているか?

上述の顧客は前のやりとり(例:Webサイト)で、組織が顧客向けに用意した“一般論”である「ルール通りに決められたこと」を見たり、聞いているため、オペレーターが再度それを提供しただけでは満足することができないケースが増えてしまっております。

このような顧客に対して必要なのは「人らしい温かい、寄り添いやその工夫のあるサービス」です。

このニーズを支持するデータがあります。

以下は弊社とCOPC社が2022年10月より約1,000名のカスタマーセンター管理者および約4,500名の消費者に行ったアンケート調査の結果です。

①主要チャネルの初回解決率
消費者へ「“最近行った組織とのやりとりにおいて、その問題が解決するまでに何度コンタクトが必要でしたか?”に対して「1回で解決した」と回答した方の割合」

コンタクトセンター コールセンター 解決率 トレンド

顧客がチャネルを強制されることはありますが、顧客自らが組織へ連絡するためのチャネルを選べる際、重要とする考えとして個々人の好みや、利便性などが挙げられます。しかし共通してすべての顧客が考慮するのは「自身の課題を解決してくれるか?」だと推測できます。

これをもとに上記の結果を見ると、それぞれのチャネルを利用した顧客は「自身の課題を解決してくれるだろう」という期待をもとに選んだにも関わらず半分以上「1回目で失敗」しており、各チャネルの初回解決率、とくにセルフサービスの初回解決率がいかに低いかがお分かりいただけるかと思います。

※顧客心理「簡単なお問い合わせだからセルフでも解決できるだろう」→にもかかわらず初回未解決

②顧客が希望するチャネルは「人」
消費者へ「“組織とやりとりする際、あなたがまず最初に試したチャネルと、最終的に解決された際に使ったチャネルはどれですか?”への回答」

では、初回解決に至らなかった顧客は、解決のためにどのようなチャネルを次に選ぶのでしょうか?上記の質問をまとめたのが以下の結果です。

最初に試したチャネル ヒューマンチャネル:デジタルチャネル=90%:10%

最後に解決に至ったチャネル ヒューマンチャネル:デジタルチャネル=96%:4%

コンタクトセンター コールセンター 解決率 トレンド

ヒューマンチャネル(人が顧客と直接やりとりするチャネル)とりわけ電話などのリアルタイムチャネルは、顧客とオペレーターのタイムリーな相互会話が可能なことから課題の真因や本来のお困りごとを互いに理解することができ解決に至る力が強く、より多くの顧客に支持されていることが上記の結果からわかりました。

背景2:現代のカスタマーセンターに求められている役割を行うために必要なのがWell-being

これまでカスタマセンターに求められていた役割は「組織が提供する商品・サービスが顧客の期待に満たない際に、カスタマーサービスを通じてGAPを埋めること」でした。しかし、上述の背景もありこれから求められる+αの役割が

A. 不足原因の撲滅による満足度強化
B. 人にしかできないサポートの提供

です。

Aは、カスタマージャーニーやサービスジャーニーという単位でサービスの品質をあげていく活動が主となります。

Bでは、デジタルチャネル/サービスで解決できず本当に困っている顧客に対して、状況の配慮・寄り添いを示しながら、顧客の状況にあった適切な改善策を提供することもあれば、Aの改善活動において必要になる顧客ペインポイントをキャッチする感度の高さも含みます。

ロボットは24時間365日決められたことを決められた通りに処理しますが、ジャーニーのどのポイントにおいて使うべきか?今顧客が困っているのはどのようなタッチポイントか?などの疑問を持て、かつそれを発見できるのは、人にしかできません。

これらを行うためにもちろん高いスキル・豊富な知識・積極的な勤務態度が必要で、それらの基盤が動機/使命感・信念/価値観などの「思い」、言い換えるとモチベーションです。モチベーションを高く維持するためには“精神”・“身体”の健康はもちろん、もっとこの仕事をしたい!この仕事を通じて顧客/会社に貢献したい!と思えるような顧客や会社・仲間との良好な関係含む“社会”の要素も重要、つまりWell-beingが重要となっているのです。

まとめ:Well-beingに関する取組の要点

Well-beingの定義が各社各様であるため「これ」という答えはまだなく各社暗中模索しているのが日本の実態であると弊社では認識しています。

従業員の心と体に振り切って取り組んでいる組織もいれば、従業員満足度の延長で取り組みを行っている組織など様々です。

弊社ではWell-beingの取組のポイントは上述の通り「双方向性」にあると考えています。

Well-being ウェルビーイング 重要 考え方 コンタクトセンター コールセンター

Well-beingを実現していく上で、会社が「働きやすい」環境を提供するのはもちろんのこと、従業員自身の仕事に足しての達成感や会社/社会への貢献を実感できるなど「働きがい」の要素も重要であると考えます。

次回のブログでは、どのような取り組みがあるのかご紹介させて頂きます。

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