カスタマーサービスプロセスのアウトソーシングに関する最新動向

2022.06.24

今回も毎月実施しているGBS第3回の内容をダイジェストでお伝え致します。

弊社とCOPC社は昨年10月~12月に、約1,000名のセンターマネージャーおよび、約4,500名の消費者に対してアンケート調査を実施し、その結果を12個のレポートにまとめました。
さらに、このレポートを活用して、経営層やカスタマーサービス・CX部門のマネージャー向けに重要なポイント・今学ぶべきことをテーマに、ウェビナーを通じてお伝えしております。

毎月1回(全12回)実施しているこのGBSですが、今回は先日開催いたしました第3回の内容をダイジェストでお届けします。

尚、次回は「採用」をテーマに7月21日13:00~14:00から開催致します。ご興味がある方は是非以下のリンクよりお申込みください。

当日のメインメッセージ

  1. アウトソーサーでは、クライアント組織のマルチチャネル戦略をサポートするために、サービスジャーニーと顧客体験の改善、新たなテクロノジーの導入に注力している。
  2. アウトソーサーは、市場の成長についていくために、従業員の離職が主要な課題であると捉えている。
  3. 急激に増加した在宅勤務により、テクロノジーや従業員エンゲージメントにおける課題への取り組みが必要になっている。
  4. 正式なベンダー・マネジメント組織を持っているクライアント組織のほうがアウトソーサーに対する満足度が高くなる傾向がある。

①アウトソーサーが注力しているテーマ

コールセンターアウトソーシング 市場 売上 2022年
コールセンターアウトソーシング オンショア オフショア

左はグローバルのBPO市場成長率を表したグラフで、2016年より毎年成長しており、今後もさらに伸びていく見込みである。右はアウトソーシング先(オンショアorオフショア)についてのグラフであり、カスタマーサービス全般であっても、一部のアウトソーシングであっても、まだオンショアへ委託することの方が多い。

アウトソーサーの目標

上記の通り、今後伸びてくる市場のニーズを満たすためにアウトソーサーは今何に注力しているのか?それを表したのが左のグラフである。特にクライアント組織のマルチチャネル戦略をサポートするために、サービスジャーニーと顧客体験の改善、新たなテクロノジーの導入に注力していることがわかる。

アウトソーシング業務、アウトソーサーの課題、課題に関連するKPI、KPIに対する有効なプロセスなども記載されているレポートは以下よりダウンロード頂けます。

②アウトソーサーの多くが抱える課題

アウトソーサーの課題

上の図はアウトソーサーが直面している課題を調査した結果である。従業員に関する課題が上位となっている。

上の図で課題として回答率が高かった「スタッフの採用」は業務量の増加、業務拡大のための戦略的採用によってももちろん必要であるが、従業員の離職も一つの要因である。次に見ていくのはこの離職と欠勤の傾向である。

右の図の上は離職率、下は欠勤率の直近の傾向を表したものである。

離職については最近の12か月で45%が増加したと回答しており、欠勤については35%が増加したと回答している。

コロナ禍が始まって当時は、離職が減った傾向も見られたがコロナ禍前
の水準に戻っていることが示唆されている。

アウトソーサーにおける離職率傾向
アウトソーサーにおける欠勤率傾向

③在宅勤務について

在宅勤務における必須条件 と 課題
在宅勤務 と コロナの関係

続いて今回の調査で71%のアウトソーサーが採用していると分かった在宅勤務について。左のグラフはグローバルでのアウトソーサーにおける在宅勤務の必須要件と在宅勤務における課題をまとめた結果である。通信環境やデータセキュリティなどが課題として上位を占める一方、従業員エンゲージメントも主要な課題であることがわかった。物理的な距離ができたことによってこれまで、同じ環境で働いていることでできていた対応が困難になり、潜在的に抱えていた課題が顕在化し、従業員エンゲージメントが低下している可能性がある。

右のグラフはそれらの課題がある在宅勤務体系をコロナが落ち着いた後、もとの勤務体系に戻すかどうか?というアンケート設問の統計結果である。コロナ前後で圧倒的に増えた在宅勤務であるが、このまま活用していくと回答したのは約40%であった。34%と非常に多い「わからない」という結果からもまだ各社戦略が明確になっていない可能性が示唆されている。

④VMOの重要性について

アウトソーシング VMO ベンダーマネジメント組織
アウトソーサーに対する満足

VMOとは、クライアント組織(委託元)内の部門または個人のグループの呼称(Vendor Management Organization)であり、アウトソーサーなどが遂行するプログラムの少なくとも一部を管理する責任がある組織である。

上記左の図はこのVMOを設置しているかどうかの結果。クライアント企業の割合は44%と約半数であったが、VMOを持つ企業のほうが、持たない企業よりも最終的にアウトソーサーのパフォーマンスに満足する可能性が1.2倍高いことも分かった。

次に上記右の図は、このアウトソーサーに対する満足と相関性が高いプロセスについて。今回の調査では46%の組織がアウトソーサーのパフォーマンスに満足していると回答した。この満足度と相関が高かったのは上述のVMOの有無及びVMOとアウトソーサーによる正式なビジネス(パフォーマンス)レビューの頻度であった。頻繁に(最低でも月次で)これを実施している組織のほうが1.3倍最終的な満足度が高くなる結果となった。

まとめ

今回の調査結果では、今後ますますBPO市場が成長していくことがわかった。アウトソーシングによる委託元の、コスト削減の期待、業務の増減に対する柔軟な対応への期待のみならず、アウトソーサーの専門的かつ高度なマネジメント、またその結果である高いパフォーマンスなどに期待していることが成長の要因になっている。しかし、この高まる市場のニーズを満たすためにグローバルにおけるアウトソーサーがとくに解決するべきは「従業員」に関する課題である。とくに勤務体系などは戦略がまた決まっていないことが示唆されているため早急に現状の分析から戦略を立て体制を整えていく必要がある。クライアント組織が達成した目的を達成するために、センターだけで戦略を立案・実行していくだけでなく、クライアント側と頻繁にパフォーマンスレビューをしながら改善を進めることも重要であるとわかった。

今回ウェビナー内容の一部をご紹介いたしましたがレポート(英語版)については以下よりダウンロード頂けます。各統計データが何を意味するのか?つまり、どのようなアクションが求められるのか?などレポートの内容を紐解くウェビナーは随時お申込み受付中です。

ご興味がある方はぜひお申込みくださいませ。

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