幸福度が低いオペレーターはそうでないオペレーターと比べてお客さま満足度が約20%低い?

2024.04.15

Well-beingというキーワードへの関心がコンタクトセンター・カスタマーサービス業界でも高まっています。心身が良い状態で働けていて、幸福度の高い従業員こそが、継続的に顧客へ良い体験を提供できると考えることは自然ではあります。しかし、実際パフォーマンスにどれほど影響があるのか明確に証明しにくいこともあり、活動を進め切れていない組織もいらっしゃるのが現状です。

そこで今回は、弊社で開催している従業員アンケート調査のスコアを用いて国内で最も幸福度の高いコンタクトセンターを決める「Well-being CUSTOMER CENTER AWARD」(以下:アワード)の最新データを基に「Well-beingとパフォーマンス」の観点から分析した主な結果をご紹介いたします。ぜひ皆さまの組織のご参考にしていただければ幸いです。

  • 調査期間:2023年5月~8月
  • 調査対象:コンタクトセンターで働くオペレーター、スーパーバイザー、
    マネージャーなど含む計10,405名(内オペレーターは6,454名)
  • 調査方法:インターネット

調査結果トピックス

  1. オペレーターは働く期間が長いほど幸福度が低くなる
  2. 幸福度が低いオペレーターは高いオペレーターにお客さま満足度が約20%低い可能性がある
  3. 幸福度が低いオペレーターがとくに低かったのは「職場環境と働きやすさ」についての基本的な設問

オペレーターは働く期間が長いほど幸福度が低くなる

幸福度は「あなたの人生の幸福度に今の職場や仕事で過ごす時間は良い影響を与えていますか?10が最も良い影響を与えている状態とした場合、0~10でお答えください」という設問の回答結果の平均値で表しています。全オペレーターの平均値は5.5であり、この結果を在職期間毎に見ると、働く期間が長くなるほど下がる傾向が見つかりました。

オペレーターの年次別幸福度推移

始めたばかりの仕事は新鮮で、学びもあり、できることが増えるにつれて承認される機会も多いため一般的にやりがいを感じやすいものです。しかし同じ仕事を同じように続けているだけでは単調になり、やりがいを感じにくくなります。やりがいを感じにくくなる理由については、日々の仕事で新しい学びがない、自身の能力を活かせない、キャリアパスが不明確など様々なものがあります。

幸福度が低いオペレーターは高いオペレーターに比べてプレゼンティーズムに関する指標が17%低く、お客さま満足度に換算すると20%損失している可能性がある

幸福度が低いことによる影響を測定するためプレゼンティーズムの指標として弊社で用いている以下の設問の結果を分析しました。

※プレゼンティーズム=直訳では疾病出勤という意味。出社しているものの何らかの心身の健康上の問題が作用して業務効率が落ちている状況、もしくはその程度。

  • 設問:ここ1ヶ月の間のあなたの仕事のパフォーマンスは、最高の状態を100点満点としたとき、どれくらいだったと感じますか?(以下:パフォーマンススコア)
  • 分析:幸福度が平均より高い(6以上)のオペレーターと、低い(4以下)のパフォーマンススコアの差を算出
幸福度が高いオペレーターと低いオペレーターのパフォーマンススコアおよびCSATの差

幸福度が高いオペレーターのパフォーマンススコアが72であるのに対し、幸福度が低いオペレーターのスコアは55と、17ポイント低い結果となりました。これを基に、幸福度が高いオペレーターのスコアを基準として計算すると、幸福度が低いオペレーターのパフォーマンスは約76%に相当します。

このデータをコンタクトセンターの主要指標である顧客満足度に換算してみます。COPC規格のグローバル基準を参考に、幸福度が高いオペレーターによる顧客満足度を85%と見積もった場合、幸福度が低いオペレーターによる顧客満足度は65%(85%の76%)と推定されます。これは、幸福度が低いオペレーターが提供するサービスの顧客満足度が、比較的高い幸福度を持つオペレーターと比べて約20%低いことを意味します。

この結果は、従業員の幸福度が直接的に組織のパフォーマンスに影響を与える可能性があることを示唆しています。回答の謙虚さや顧客満足度の推計に関わる限界を考慮すると、この調査結果が完全な形ではないとも言えます。しかし、オペレーターの幸福度とパフォーマンスの間には明らかな相関性があり、それが組織の経済的なパフォーマンスに影響を及ぼすことを示唆しているこの数値は、一種の警鐘として解釈すべきだと考えております。

幸福度が低いオペレーターが高いオペレーターと比べてとくに低かったのは「職場環境と働きやすさ」についての基本的な設問

幸福度およびパフォーマンススコアが低い理由を分析するため、幸福度が高いオペレーターと低いオペレーターの回答結果に最も差異があった設問を抽出し、それぞれに共通する項目を見てみました。その結果が以下の表です。

※回答結果=7段階評価における上位2回答(6:そう思う、7:とてもそう思う)の割合
※差異=幸福度が高いオペレーターの回答と低いオペレーターの回答結果の差

Well-being コンタクトセンター 幸福度が低いオペレーターの高いオペレーターの回答結果に最も差があった設問

本調査は弊社オリジナルの従業員アンケート調査であるWell-being診断を利用しました。この診断は従業員幸福度・Well-beingとの相関が強いと市場調査から特定した7つの要素をベースにした50問前後のアンケート調査です。従業員幸福度・Well-beingの実現・促進のためには研修、福利厚生など会社から与えられたものに満足するだけではなく、学び・価値の提供など従業員が会社へ与えたものに満足できるかが重要になります。ただし、後者は前者に満足できているからこそ従業員が実現・満足するものです。

今回分析をした結果、前者に類する設問こそが回答の差異が最も大きいことがわかりました。
つまり、従業員幸福度・Well-beingのベースとなる会社から与えられるものに満足できていないことが課題である可能性が見えました。

とくに「自分の職責に対する理解」が出来ていない状態は、不明確な状態からのストレスだけではなくどのように個々人の特性や長所を活かして良いかわからない、自信をもって学習や仕事を進められないなどの感情にも繋がるため理解促進が重要となります。

Well-beingへの注目はますます高まっておりますが、これまでやったことがない全く新しい心身への健康状態に関する取組みではなく、基本的な組織から従業員へ提供するプロセス、情報、環境の見直しからまずは行うことが重要だと以上の分析からわかりました。

参考情報:従業員アンケートの結果をもとに国内で最も幸福度の高いセンターを決める『Well-being CUSTOMER CENTER AWARD2024』の開催が決定

今年で4年目を迎える本アワードは、従業員アンケート調査のスコアをランキング化し、上位組織を表彰するものです。国内で唯一センターのWell-beingに特化したアワードであり、エントリー組織は自組織の従業員アンケート調査結果を国内他センターの結果と比較することで同業種内の強み・改善機会を把握できる特徴があります。

アワードの詳細について詳しく知りたい方、エントリーをご検討中の方にむけた説明動画を公開しております。以下のリンクよりご視聴(無料)頂けます。

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