今回も毎月実施しているGBS第6回の内容をダイジェストでお伝え致します。今回のテーマはコンタクトセンターのWFM(ワークフォースマネジメント)についてです。WFMは、予測、要員計画、シフト作成、リアルタイムマネジメントの4つの要素からなる、業務量や処理時間などの予測に基づき、適正な人員配置と繋がりやすさを管理することです。
ワークフォースマネジメントには
弊社とCOPC社は昨年10月~12月の期間で、約1,000名のセンター関係者および、約4,500名の消費者に対してアンケート調査を実施し、その結果を12個のレポートにまとめました。
さらに、このレポートを活用して経営層やカスタマーサービス・CX部門のマネージャー向けに重要なポイント・今学ぶべきテーマを、ウェビナーを通じてお伝えしております。このレポートとウェビナーを合わせたプログラムがGBSです。
毎月実施しているこのGBSですが、今回は先日開催いたしました第4回の内容をダイジェストでお届けします。
尚、次回は「従業員体験」をテーマに10月20日(木)13:00~14:00で開催致します。ご興味がある方は是非、以下のリンクよりお申し込みください。
当日のメインメッセージ(グローバルアンケート調査結果)
- WFMにおいてツールを活用している企業は、グローバルにおいて75%
今後、日本国内でも活用が広がる可能性は十分ある - 効果的なリアルタイム管理は、最適なスタッフィングを実現し、常に高いレベルのサービスを提供することが可能でため、多くの組織において改善の余地がある
- 効果的なWFMは、サービスレベル、離職、欠勤、処理時間などのパフォーマンス測定により把握し向上できるが、これらの指標を測定していない組織はまだ多い
日本におけるWFMは、担当者にしかわからない数式等を用いてExcelで行われていることが多い。また担当者はオペレーターとの調整などに忙殺され、本来必要な上述の分析(とくに事後)ができないことも少なくない。
以下で紹介する指標の中で、計算していないものや分析していないものがあれば、実施することを推奨したい。
1. WFMのテクノロジー
上の図は、ワークフォースマネジメント(以下;WFM)においてツールの利用率を質問した結果のグラフである。75%の組織が活用しているという結果であった。これはWFMのツールがグローバルでみると一般的なものであることを意味している。また、過去テクノロジー(ブログはこちらから)で紹介したイノベーター理論に当てはめると、今後導入を検討する組織はレイトマジョリティであることを意味する。レイトマジョリティは、新しいものの採用に対して消極的な層のことであり、すぐに導入を決定しないものの競合他社の動きを観察、新製品の導入が過半数を超えたあたり、「遅れまい」「失敗しまい」という動機から採用を検討する傾向がある。Excelなどを活用した運用となっているが、今後WFMツールを活用した運用が増えてくる可能性がある。
今後導入が増える可能性があるのは以下の、AIなど新しい技術を活用したツール、ニッチなニーズにも応えることができるツールである可能性がある。
上の図の右側はすでに導入をしている75%の組織にWFMツールの更新や変更予定があるか聞いた結果である。37%の組織のみ予定があると回答した。
現状の市場シェアと満足度を聞いた結果が左の図。WFMツールはニッチなニーズに対応がやや困難なパッケージ商品の傾向があったが、近年シェアを伸ばしているのは図中の「その他」の新規ツールを活用、あるいはニッチなニーズにも応えられるツールである。
2.リアルタイム管理について
リアルタイム管理とは、業務量や効率性(AHT等)が予測に対して著しく増減する場合や不測の事態、異常な状況が起きた場合におこなう再計画や当日の措置のこと。以下は、どのような措置があるかの回答結果である。
コンタクトセンターの診断において組織へインタビューする際、「私たちには体系化されたリアルタイム管理のためのアプローチがあります」と回答する組織が多い。具体的に何をするか聞くと、上の図の左側にある残業の募集、研修など非生産時間への移動が多い。また、メールなどの非リアルタイムチャネル(電話やチャットのようにすぐさま顧客に応答する必要がないチャネル)は固定シフトで実施し、例えば電話のような、リアルタイムチャネルの業務量が予測より増えた際、非リアルタイムチャネルにおいて電話応対スキルを保有したスタッフを移動させ応対させるケースも多い。
多くの組織で改善の余地があるのが、このようなリアルタイム管理の以下の要素である。
・非生産時間は取り消したのか?正しく「移動」できたのか分析していない
研修、コーチング、会議の時間を閑散期に移動させるのは一般的な措置であるが、それが後に計画通り行われているか管理する必要がある。これらを実施しないことによりオペレーターのスキルや知識が不足、顧客体験に大きく影響するだけでなく、オペレーターの従業員体験にも悪影響を与えるためである。
・繁忙期を乗り越えるのに大量の労力を費やすが、事後の分析はしない
リアルタイム管理に必要なのは、
①超過・不足した際の措置を事前に決める、
②そうなった際に状況を分析し正しい措置をとる、
③事後分析をする
の3つである。
しかし、③の事後分析をしている組織は多くない。措置が適切にとれているかも分析が必要であるが、業務量の増減は突発的なものであるか?予測できたのか?今後も続くのか?などを分析しリアルタイム管理全体の改善を行うべきである。
これがなければ突然増えた業務量に対して大量の人員を投入し処理をするが、終わった後、大量の手待ちが発生するなどの事態が起こりかねず、非常に効率が悪い。もちろん事前に例えば顧客体験が目標値に収まる放棄呼率、サービスレベルの下限値の分析も必要である。リアルタイム管理は、言葉の通りその時の突発的な事態に対して管理を行うものであるが事前・事後の分析によってその精度が決まるものである。
目の改善、実施方法の改善を行い、効果的なモニタリングを実行していくことが重要である。
3.WFMの指標
WFMにおいてCOPC社が推奨する、測定すべき指標をまとめたのが上記の図である。これらすべてを測定していると回答したのは、今回の調査では61%であった。単体で最も測定率が低かったのは、スケジューリング予測精度(73%)、またスタッフィング予測精度(71%)であった。 また、以下は業務量に予測可能なパターンがあるか の回答結果である。多くの組織で「パターンがある」 と回答しているが、実際に長期予測をしている組織は40%台にとどまった。
定性的でなく、定量的にこういった波を把握している場合、予算の制限から増員できないなど現実的な問題はあるが、今後の行動を変えるために、確実に予測をするべきである。
まとめ
日本におけるWFMは担当者しかわからないExcelで行われ、かつオペレーターとの調整などに忙殺されることにより、本来必要な上述の事前、とくに事後の分析をすることができていない。 上記にて紹介した指標の中で計算していないものがあれば計算する、業務量の波を定性的にしか把握していない場合は定量的に分析する、予測精度が低いのであればどの尺度(時間帯<日<週<月<年)で当たっているのかまずは把握するなど様々な分析が可能になる。これらを実施することで、コンタクトセンターのサービス品質を上げると同時にコストを抑え、生産性を高めることに必ずつながるため実施を強く推奨する。
今回ウェビナー内容の一部をご紹介いたしましたがレポート(英語版)については以下よりダウンロード頂けます。各統計データが何を意味するのか?つまり、どのようなアクションが求められるのか?などレポートの内容を紐解くウェビナーは随時お申込み受付中です。
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