特別対談
~「カスタマーファーストをPROMISEする」に込められた想いとは。~

Special Interview

創立60周年を迎えたSMBCコンシューマーファイナンス株式会社は、時代に合わせ、お客さまに先駆的かつ多種多様なサービスを提供してきた。

また「カスタマーファーストをPROMISEする」を掲げ更なるCX(顧客体験)向上へと活動している。この言葉に込められた、お客さまに対する想いとは何か。
同社・代表取締役社長の金子氏(写真右、以下敬称略)に、当社代表取締役社長の根本(写真左)が話を伺った。

創業当時から受けつがれる「カスタマーファースト」の精神 

金融教育のセミナーに代表される「金融リテラシー向上」と社会貢献 

寄り添いを大切にした応対品質のレベルアップ 

COPCが支えてきたこと 

デジタルが進むからこそWell-beingが重要 


創業当時から受けつがれる「カスタマーファースト」の精神

根本)
創立60周年おめでとうございます。実は当社も2年前に創立30年を迎えました。大きな節目でしたが、私自身、社長という立場で、自社の原点は何か、大切に残すべきこと、社会の変化からこれからの時代に必要とされる会社に成長するために進化すべきことは何か、改めて考える機会でもありました。御社が掲げる「カスタマーファーストをPROMISEする」というメッセージには、お客さまに対するサービスを高いレベルで実現するんだ!という強い決意にも感じました。

金子)
当社の創立は、高度経済成長期である昭和30年代です。ご存じの通り、日本の社会は右肩上がりで成長してきました。この中で、当社が消費者金融として役割を果たしてきたことは、非常に大きかったと思います。
しかしながら、過去、消費者金融業界は、社会から淘汰され、激変する時代もありました。勤め続けたいが残念ながら職場を去らなければならなかった社員もいます。
今年、創立60周年を迎えることができ、先達の人たちが築き上げてきていただいたものに、感謝の気持ちを強く持っています。

根本)
会社案内を拝見して興味深かったのが、お客さま側から見た最高のシステムが「無利子・無期限・無催促」が原点になっているところでした。もう1つは、「プロミス」とは、お客さまと貸金業者が対等である、という意味が込められている、ともありました。いずれもお客さまとの関係をどう考えているかを表現している、重要なキーワードに感じました。

金子)

創業者・神内オーナーの言葉である、「無利子・無期限・無催促」は、当社のビジネスの重要な出発点だと思っています。お客さまの生活をサポートするためには、どのようにお金を貸すべきなのか、またそれに対しお客さまがどのように応えてくれるのか。その答えが、3つの無で構成される「3無主義」であり、究極の言葉であると思います。

・お客さまの状況に応じて、金利を決めること。

・催促ではなく、お知らせすること。

・借りたり返したりが無期限にできること。当社が初めて導入したリボルビングという考え方は今ではクレジットカードで当たり前になっています。

創業者・神内オーナーの理念・DNAは「カスタマーファーストをプロミスする」として今も我々の社員の心に受け継がれています。


金融教育のセミナーに代表される「金融リテラシー向上」と社会貢献

根本)
消費者金融とは、その言葉の通り、消費者のための金融であると思います。60年の歴史の中で、多くの資金にお困りのお客さまを救ってきたと思います。一方で、お金を取り巻く環境では、救いたいけど救えないといった、最前線でビジネスを行ってきたからこそ見えたことも多くあるのではないか思います。現在実施している金融教育のセミナーは、一歩先を見すえた取り組みかと思いました。

金子)
実は、最初から金融教育のセミナーをはじめようとしたわけではないのです。

始まったタイミングは、2010年、社会的な批判を浴び、厳しい評価を受けているときでした。何か地域の皆さまに貢献できることはないか、と考え、全国21か所(2022年9月現在、全国11か所)にある「お客様サービスプラザ」で地域の社会貢献活動を始めました。

その中で、「学校でお金にまつわる話をしてほしい」というご依頼があり開催したのがきっかけです。学生のときから正しい知識を身に着けることは重要です。セミナーを受けた地域の方からも「今まで教えてもらったことはない」と大変好評でした

根本)
私は、お金に関するセミナーというと、投資に関連したものの印象があります。お金を多く持っている人向けというのでしょうか。一方、消費者目線で、身近な、普段の生活におけるお金の教育を受ける機会は少ないような気がします。より良い社会となっていくために貢献すると思いますので、とても素晴らしい取り組みですね。

金子)
昔から日本では、「(投資で)お金を増やす」、「お金を借りること」はよくないことだと言われています。そのため、お金を借りることや運用することについて疎くなり、犯罪にもつながっていると思います。「お金を借りるとはなにか」、「生活における収支とは何か」、という身近な話題で評判になり、「PROMISE 金融経済教育セミナー」には約130万人に参加してもらいました。今では約40のコンテンツ動画をホームページ上で無料公開しています。

根本)
金融教育のセミナーの開催は、社会貢献だけでなく、企業とお客さまとのより良い関係を実現するうえで、とても大切ですね。企業側の対応するスタッフも人間ですから、お客さまから敬意をもって接しられること、それらが好循環となって良い関係、双方にとっての良いサービス体験が実現できると思います。


寄り添いを大切にした応対品質のレベルアップ

金子)
当社では、未払いのお客さまに対してお電話していますが、「返済相談」というより「人生相談」を行っています。「どうすれば生活が回るか」、「そのために自分がどうすべきか」を具体的にお話しています。喫煙数の話から、コロナで仕事がない、といった話まで、幅広い相談があります。

根本)
人生相談となると、対応される社員の方の人間力が問われますね。以前、御社内で開催された応対品質コンクールを聴講した際、模擬応対のやり取りが特徴的であったことを思い出します。決められたスクリプトではなく、お客さまに応じた表現の変え方など工夫されていました。とても難しいと思いますが、このような応対を実現するために、どのような取り組みをされているのですか。

金子)
昨年度、当社の考えるカスタマーファーストを目指すために、全センターの電話応対を横断的に評価する「CFコールスタンダード」を作りました。当初は「センターごとに役割が違うため、スタンダード化するのはどうなのか」という意見がありましたが、今では横串を通すことができるようになってきており、センターの水準アップが一気にできました。この策定を支援してくれたプロシードには感謝しています。

根本)
金子社長は、ご就任後すぐにセンターまで訪問してお客さま応対のモニタリングをされている、という話を伺いました。経営として業績をしっかり把握することはもちろん重要ですが、お客さまの声や現場を大切にされていると感じました。

金子)
当社における現場はセンターです。お客さまと接しているところで、何が行われているかを知らないと、仕事になりません。報告を受ける立場は、実態の基準値を持っていないと、何でも真に受けることになるのが怖いです。BtoBの場合は、社長という立場であってもお客さまの顔は見えます。しかしBtoCの場合、実際のお客さまの顔を見ることはできません。だからこそ実際の応対を聴くことは必要です。お客さまがどのような傾向を持っているのか、ニーズが見えてきます。

根本)
実際のお客さまへのサービスを社長自らが確認し、そして、一般的な応対品質ではなく、会社の想いをCFコールスタンダードに込められたのですね。


COPCが支えてきたこと

根本)
12年前に初めて御社に伺ったときは「普通のコールセンターにしたい」という要望をいただきました。当時は、グループ長単位に担当エリアがあり、営業拠点がセンターに物理的に集約されたものの、マネジメントは分かれていました。その後、COPCを活用したマネジメント強化を推進し、2002年にはCOPC認証取得まで駆け上がりました。その後、この10年連続という快挙を成し遂げたわけですが、簡単ではなかったと思います。常に、業績追求と変革が両輪で動いている印象です。御社にとって、COPCとCFコールスタンダードは、どのような位置づけなのでしょうか。

金子)
CFコールスタンダードは、当社の各センターがお客さまのために一体となるために必要です。最初にサービスを提供して終わりではなく、お客さまの状況に合わせてサポートできる。今までは連携が取れず分断されていました。お客さま対応の仕方、という1つの目安が作れないようでは、「カスタマーファーストをPROMISEする」の実現はできません。また応対品質を数値化し、見える化できたことも良い点です。属人的ではいけません。

一方でCOPCは、さらに全社的なセンター運営がどのような状態かをより見える化できるものです。今後は、様々なデジタルサービスが開始されたときに、何がスタックしているかの見える化も実現していきたいと思います。実際、デジタルサービスのWebアプリが矢継ぎ早に変更されるため、センターの運用が混乱する事態が起きがちです。COPCを活用した運営により、センター全体のトータルコントロールができるようになると考えています。


デジタルが進むからこそWell-beingが重要

根本)
確かにそうですね。世の中のデジタル化が急速に進むことで、お客さまにとっての利便性や選択肢がどんどん増えていると思います。御社の場合も、デジタルによって実現できるサービスが多くあると思います。

金子)
今現在、お客さまにあった方法は何か?を考え続けることが大切だと思います。アプリによるプッシュ通知、最初の電話での対応など、様々なことを実施しています。チャットというチャネルも重要です。またIVR比率を高めるなど、電話でしか対応できない状況も変えたいと考えています。

根本)

デジタルを推進するものの、その前提は“お客さまにとって何が良いか”を考え続けることですね。それを実現するためには、社員が、その想いをもち続けなければならないと思います。

これは、お客さま、社員ともにヒューマンの領域になります。今後も、「カスタマーファーストをPROMISEする」を実効性があるものとしていくために、大切なポイントはどこになるでしょうか。

金子)
自分が働いている会社で、充実した仕事になっていなければ、それは実現することができないと思います。仕事そのものが「カスタマーファーストをPROMISEする」となっていることです。人に向き合う仕事、そして、人間味があるカスタマーサービスとして大切なことのキーワードは、社員がウェルビーイングになり、この原動力になることだと思っています。

そして、金融における三大機能、その中で、「借りる」という金融の力が、一番お客さまにインパクトがあることだと思っています。金融業界では、「与信」と言いますが、お客さまから信用をこちらから与えるものではなく、私たちが与えてもらうことが大切です。お金を借りてもらうこと、それは、お客さまに寄り添い役に立つという姿勢を持ち続けることだと考えます。

根本)
貴重なお話をいただき、本日はありがとうございました。

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