AIチャットボットを「使える」ものにするために注目が集まっているナレッジマネジメント

2025.02.03

コンタクトセンターにおいて、DX/AIの活用が急速に進んでいます。
皆様も日々、弊社からのご案内含めDXやAI関連のセミナー案内などを受け取られているのではないでしょうか。

AIチャットボットによる自動応答、音声認識による応対内容の分析とこれを応用したオペレーターサポート機能など、テクノロジーの進化は目覚ましいものがあります。
しかし、DXやAIを導入するだけでは顧客満足度は得られません。AIはあくまでもツールであり、それを活かすために重要なのは「人」だからです。

たとえば、チャットボットや音声認識は、それ自体が完璧な回答を生成するわけではありません。AIに正しく学習させ、顧客や従業員にとって正確な回答を導き出すためには、質の高いデータが必要です。
これは単純に〇か×かという精度や正確性だけではなく、顧客の心情を理解した顧客目線でのデータの整理も求められます。
このような背景から近年「ナレッジマネジメント」への注目が高まっています。

ナレッジマネジメントとは、組織全体の知識や経験を共有し、活用する仕組みのことです。
コンタクトセンターにおいては、FAQシステムの構築、応対履歴のデータベース化、成功事例の共有などが挙げられます。これらを適切に管理・整理することで、AIの学習データとして”も”活用することができ、DX/AI導入の目的達成のために効果的な自動応答や分析が可能になります。

今回のコラムではナレッジマネジメントの活用事例をもとに、どのような改善効果をコンタクトセンターが得られるかや活用・導入の事例についてご紹介していきます。

ナレッジマネジメントを行う意義

  • 応対品質の向上と均質化とそれによる顧客満足度/体験の向上
  • オペレーターの育成とスキルアップ
  • 業務効率の改善、コスト削減
  • 顧客体験向上や解決率向上に意味のあるデータ(ナレッジ)の整理・活用による、デジタルチャネルの品質アップ

適切なナレッジマネジメントを行わなかった場合に起こりうる課題

  • WebサイトのFAQ含むデジタルチャネルによる解決率があがりきらない
  • デジタルチャネルで解決しなかった顧客からの複雑または温度感の高いお問い合わせが増える
  • 増え続ける複雑なマニュアルを参照することによるオペレーターの負担増加
  • 上記による企業のブランドイメージ毀損や低いROI

従業員・オペレーターに対しても、顧客に対しても、いつでも必要な情報にアクセスできる環境、つまりナレッジマネジメントは今後よりその重要性を増していきます。適切なナレッジマネジメントが実施されていない場合上記課題と合わせて人のマネジメントに起因する、

・SVがオペレーターのフォローに忙殺される
・新人が定着しない/育成期間が長い
・経験の長いオペレーターに頼らざるを得ない

なども課題として起こりかねません。
これら人のマネジメント、また有人およびデジタルチャネルマネジメントなどに関する様々な課題に対して効果的なフレームワがナレッジマネジメントの方法論である「KCS」です。

今回のコラムでは主にデジタルチャネルのパフォーマンス向上という観点からKCSの活用事例を解説します。

ナレッジマネジメントの方法論を自センターに導入することによるメリットの例

・リアルタイムでのナレッジ更新と品質向上:

KCSでは、以下のようにオペレーターが新しい質問や回答が必要な場合、その場でナレッジベースに登録する応対の流れに変更されるのがポイントです。

①オペレーターはFAQを検索し、回答がない場合、登録する
②スーパーバイザーなど回答作成可能な権限者が回答を作成し、公開する
③上記のステップによりFAQが継続的に改善され、利用頻度の低いものは整理される。

オペレーターによって登録されたものがスーパーバイザーなどによって確認され、必要に応じて回答を追記・修正し、公開します。このプロセスにより、ナレッジベースは常に最適かつ最新の状態に保たれます。KCS導入前は、FAQが十分に活用されていなかったり、回答が不十分であったりすることがあります。KCSでは、オペレーターが実際に顧客対応で使用する中で、FAQを改善していくため、FAQの品質が継続的に向上します。

またKCSによって整備された高品質なナレッジベースは、顧客の自己解決を促進し、デジタルチャネルの解決率や利用率向上につながります。

さらに、これらの適切なデータ(顧客応対に効果的なナレッジ)をAIの学習データとしてデジタルチャネルにおける解決率向上などに活用することも可能です。

・ログデータの活用:

KCSでは、FAQの検索履歴や回答内容がログデータとして蓄積されます。このログデータを分析することで、顧客がどのような情報を求めているのか、どのような問題に直面しているのかを把握できます。

この分析結果を基にFAQを改善したり、新しいコンテンツを作成したりすることで、デジタルチャネルでの解決率を高めることができます。

•オムニチャネル環境下における適切な情報共有:

KCSで構築されたナレッジベースは、Webサイト、FAQページ、チャットボットなど、複数のデジタルチャネルで共有できます。これにより、どのチャネルを利用しても、顧客は一貫した情報にアクセスでき、解決率の向上が期待できます。

•データに基づいた意思決定:

KCSによって収集されたデータは、顧客のニーズを把握し、製品やサービスの改善に役立てることができます。また、コールセンターの業務効率化だけでなく、企業全体の意思決定にも貢献できます。


KCSは、単なるFAQの改善だけでなく、組織全体の変革を促進するものです。データに基づいた改善を継続することで、デジタルチャネルでの解決率を向上させ、顧客満足度を高めることができます

研修には、KCSの概要説明、導入効果などを1日で学ぶ基礎的なコースとKCSの基礎に加え、実践的なステップを2日間学ぶコースの二つがございます。

ぜひ貴センターの更なる改善にご活用ください。

考え方や活用についてご紹介する動画『はじめてのKCS』は以下よりご視聴(無料)頂けます。

直近の開催回については以下よりご覧いただけます。(直近の開催回は3月10日です)

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