コーチングを行わないコールセンターはありません。
コーチングを上手に実施できているセンターは良いセンターである漠然としたイメージをお持ちの方も多いと思いますが、どういったポイントを抑えると「良いコーチング」ができるのでしょうか?
今回はそんな問いいに答えるべく、”Call Centre helper”で紹介されていた、以下10個のコーチングにおけるポイントを皆さまに共有したいと思い、記事の翻訳をしました。
転載元情報と目次
著者:以下10名(記事中のアドバイスNo.が以下の番号ごとの著者の投稿によるもの)
- Justin Robbins氏(CX Effect社):コーチングは行動を促すために
- Natalie Calvert氏(CX High Performance社):スーパーバイザーにもコーチング
- Rob Clarke氏(Elev-8 Performance社):良い応対とは何かを理解する
- Dan Moross氏(MOO社):長所を探すことに着目する
- Sarah Morgan氏(Luceat Coaching社):オペレーターが身構えないようする
- Daniel Ord氏(OmniTouch International 社):個人的な意見には注意する
- Kim Ellis氏(Go Ginger社):頭字語を作る
- Jason Griffin氏(Five9社):ご褒美システムを作る
- Nerys Corfield氏(Injection Consulting社):スーパーバイザーに投資する
- Katie Stabler氏(CULTIVATE Customer Experience by Design社):顧客視点からコーチングする
記事:10 Experts Share Their Favourite Advice on Call Centre Coaching
https://www.callcentrehelper.com/experts-advice-call-centre-coaching-170601.htm
1.コーチングは行動を促すために
スーパーバイザーと話をしていて一番多い悩みは、「長期的なパフォーマンスを促進できていないと感じる」というものです。
スーパーバイザーは、自分がコーチングした内容が、次のセッションや交流の時には忘れられているように感じています。これを調べてみると、根本的な原因は点数稼ぎのためのコーチングであって、行動を促すものではないことが多いのです。
例えば、多くのモニタリングのコーチング記録では、オペレーターが「許容範囲」に入っていたか、あるいは85%以上の点数を取っているかを基準として評価されています。しかし、本当に注目すべきなのはこの点数を左右する行動です。点数だけを求めることに意味はありません。
そのため、コーチングする時には、点数を稼ぐことではなく、点数を達成できる行動を見ます。
2.スーパーバイザーにもコーチング
オペレーターよりもSVの方が優れているようにトレーニングを行いましょう。
SVは、「どのような方法がいいいと思いますか?」等、平凡な質問をすべきではありません。SVは実際にやって見せることが重要です。
上記のようなオープン質問をするのは良いことですが、スーパーバイザーはその答えを持っていることが重要です。多くのスーパーバイザーは上手にコーチングをしていますが有意義、かつ目的を持った会話を行うためには、やるべきことがたくさんあります。
3.良い応対とは何かを理解する
コーチングを行う時には、「良い応対」とは何かを理解し、それを示すことをできるように準備することがとても重要です。
「私の言うとおりにしなさい」と「私がやってみるのを見てから一緒に検討しましょう」とでは大きな違いがあります。そして、コールセンターならではヒントですが、「変化を圧縮する」ことを考えてみましょう。
10個や15個のリストを用意するより、どれに取り組めば、最大の変化をもたらすのかを考えましょう。
その1つを選択し、集中して取り組む方が、10個を一度に取り組むよりも良い結果が得られるはずです。
4.長所を探すことに着目する
コールセンターのコーチングに限らず、すべてのパフォーマンス管理において、人の弱点を探して、苦手な分野を直そうとする傾向があります。
このアプローチは適切ではない場合もあります。
人の得意分野を見つけて、注目して、活かせるのは単に弱点を改善するよりいい提案になります。多くの場合は弱点を強みにするのはとても難しいです。
その代わり、強みを磨くべきです。
5.オペレーターが身構えないようする
コーチングはオペレーターをサポートし、協力するためにあると思われることがとても重要です。
コーチングは純粋にオペレーターをサポートし、彼らの成長を助けるために存在することを理解してもらいましょう。オペレーターが身構えた態度をとっていないか確認しましょう。
信頼関係の高いチームであれば、ピアレビューやピアコーチング(※)は有効な手段となります。
オペレーターは同僚から学び、自分の強みと弱みをより明確にすることができるため、これらの方法はオペレーターに自信を持たせることができ、効果的です。
※ピアレビュー:peer review=仲間や同僚を意味する「ピア」が、お互いを「レビュー(診断や評価)」しあうレビューの方法。
6.個人的な意見には注意する
個人的な意見には十分注意してください。
多くのスーパーバイザーが個人的な意見を持ち込んで、オペレーターに “私はこうすべきだと思う”と言うことがあります。しかし、スーパーバイザーは、組織とそのブランドを代表しているため、少しリスクがあります。
オペレーターを混乱させないように、スーパーバイザーに個人的な意見は避けるべきです。
コーチングで重要なことは明確さです。
7.頭字語を作る
オペレーターには、カスタマーサービスについての頭文字を考えてもらいましょう。そうすると、彼らは真剣に以下のようなテーマについて考えます。
- 優秀なカスタマーサービスとは何か?
- 私たちのカスタマーサービスについて、顧客に何と言ってもらいたいか?
- 顧客にどのように感じてもらいたいか?
ZoomやMicrosoft Teamsのミーティングでセッションを行うのもお勧めです。オペレーターたちをZoomのブレイクルームセッションで集め、彼らの議論を聞きましょう。
8.ご褒美システムを作る
学ぶことは簡単ではありませんが、オペレーターが努力していく上で具体的なインセンティブの仕組みがあれば、学習意欲が高くなります。
オペレーターが最も望むご褒美は電話から離れる時間だと知っても、多くの人は驚かないと思います。オペレーターが一定のコーチングにおける目標を達成すれば、それに対してご褒美がもらえるような幅広い仕組みを構築するとよいでしょう。
オペレーター個人に合わせたコーチングプログラムを作成し、さらにコーチング目標を達成できた、という重要な場面でご褒美を上乗せすることが重要です。
9.スーパーバイザーに投資する
私が3年間役員を務めていたセンターには、コーチングの文化が根付いていました。
資格を持ったSVがいるということは、大きな価値のあることだと実感しました。スーパーバイザーをはじめ、全員がコンタクトセンターコーチングのレベル3からレベル7までのコーチングを受けていました。
よって、私からの一番のアドバイスは、資格を持ったコーチを配置することが自分の組織に価値をもたらすことを理解するということです。
10.顧客視点からコーチングする
コーチングをする時には、あらゆるレベルで、幅広い顧客体験が常に会話の一部であることを確認することが重要です。
スーパーバイザーが顧客中心主義を推進し、オペレーターが真の顧客中心主義を体現できるように指導する。
顧客にフォーカスした、部門間の重要業績評価指標(KPI)を使用することで、様々な方法で業務パフォーマンスをサポートすることができます。
この文章を読むと、コーチングされる側だけではなく、コーチングをする側の勉強や準備も非常に重要ことが分かりました。中途半端なコーチングは誰の得にもなりません。
皆さまも是非コーチングをする際、方法を検討される際、今回ご紹介した点をご参考ください!